淡々と伝えた、私の暮らしの内訳
「ITのコンサルタントをしています。在宅で、自分で会社をやっているんです」
私の答えに、副会長さんの表情が、ほんの少し変わりました。続けて私は、勤めていた会社を独立して数年が経つこと、取引先には誰もが知る大手企業がいくつかあること、在宅勤務なので娘が学校から帰ってきたときに「おかえり」と言える働き方を選んだことを、穏やかに話しました。
そして、もうひとつだけ付け加えました。「夫が遺してくれた保険金には、手をつけていないんです。あれは、娘の進学のために残してあるので。今の暮らしは、すべて私の仕事のお金で成り立っています」
集会所の空気が、変わりました。さきほどまでざわついていた室内に、誰の声もしなくなったのです。副会長さんは、笑顔のまま、次の言葉が出てこないようでした。
そして…
集まりが終わったあと、何人かのご近所さんが「失礼なことを言ってしまってごめんなさい」と頭を下げに来てくれました。私は「気にしていませんから」と微笑んで、その場を後にしました。
帰り道、娘の顔が浮かびました。あの子に、私の働く姿をちゃんと見せていきたい。お母さんはこうやってお金を稼いで、あなたと暮らしているんだよ、と。
新築の家には、たしかに「裏」がありました。それは、夫を亡くしたあと、娘を抱えて泣きながら勉強し直し、独立してここまで来た数年間です。けれど、そんなものは説明する必要のないことだったと、私は今でも思っています。
(30代女性・ITコンサルタント)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
