「健康のためには1日3食きちんと」という常識は、医学的な裏付けというよりも、社会の効率化を求める声によって定着したものに過ぎないのかもしれない。江戸時代の日本人にとって当たり前だった1日2食の生活習慣のほうが、実は理にかなった身体の休息法だったと、医師である青木厚氏はいう。氏も実践し、内臓の疲弊を救い、本来の健康を取り戻すことを実感できた「16時間断食」とは。
青木厚氏の書籍『「空腹」は最高の健康習慣 ホルミシスが人生を変える』より一部を抜粋・再構成し、「内臓を休める」ことの真の価値を紐解く。
発展してきた社会が「コスパやタイパ」を求めた
私が実践した「16時間断食」での食事法は、回数としては1日2食になっています。
これは期せずしてのことだったのですが、自分の生活リズムや仕事上の事情を考えると、それが最も自然に食事を摂ることができるようになっていました。1日2食の生活をしていた、江戸時代の元禄期以前の日本人と同じだったのです。
元禄時代にはまだ、電気をはじめとした生活インフラはもちろんありませんでしたから、ロウソクや松明をともさなければ、夜は真っ暗で何もできませんでした。ですから人々は、自ずと日の出とともに起きて働き、日が暮れたら早く寝るという生活をしていたはずです。
今の言葉で言うと、コスパやタイパをよくしたということです。
いわば、人間的な欲求ではなく社会的な欲求がもたらした環境変化と言っていいと思います。
1日3食は内臓を疲れさせる
では、人間の健康という面に照らし合わせてみると、その変化が与えた影響はどうだったのでしょうか。
私は実はこの「1日3食」という子どもの頃から当たり前とされてきた習慣は、「身体に与えるダメージが大きいのではないか」と考えています。
「健康のために1日3食規則正しく」という考え方は、今見たように科学的な有益性から根付いたものではなく、社会的な事情から許容されるようになったといっていいと思います。
「1日3食食べなければいけない」という、確固たる裏付けはありません。人間としての自然なあり方からは離れ、健康などとは別の必要性から普及したものと言えると思います。
「1日2食だった時代よりは、1日3食食べるようになった今のほうが、格段に寿命が延びたではないか」という見方もあると思います。
しかしそれも、食事の回数ではなく栄養学的な改善、摂る栄養の質もよくなっているという面を考え合わせると、やはり「1日3食のほうがいいのだ」ということの確固たる裏付けとは言えないでしょう。
それよりも私は、医師として、
1日3食は内臓を疲れさせる
と考えています。

