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40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

「遅咲き」じゃなくて、ぼくは全然早いと思っています

——長い下積みを経て、ついにドラマ出演のオファーが。これまでのお話を伺っていると、いわゆる“遅咲きのキャリア”とも言えるのかなと感じました。
周りからもよく「遅咲き」と言われるんですけど、ぼくとしてはむしろ「こんなに早く?」と思っているんですよ。

——「早く」ですか?
はい。ぼくとしては、自分が俳優として花開くのは50代から60代くらいなんじゃないかなと想像していたんです。だってぼくみたいなキャラクターは、映像作品の中ではあまりにも個性的じゃないですか(笑)。自分に合う役は、そのくらいの年齢にならないとオファーは来ないだろうなと。だから、40代のうちに自分にぴったりハマるキャラクターと出会えたことは、もう運命としか言いようがない。
でも、あえて目標を遠くに置いていたからこそ、自分を信じ続けることができたんだと思います。しんどい時期でも、「頑張れよ、お前」「いつか絶対に花開くぞ」と、自分に言い聞かせながらやってきました。

——でも周りには、10代や20代から活躍している俳優さんも多くいらっしゃいますよね。悔しさや葛藤はありませんでしたか?
それはものすごくありましたよ(笑)。

40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

特に若いころは、活躍している人と自分を比べて、「自分は何をやっているんだろう」と思ったこともありますし、「あの人みたいに売れたい」と嫉妬したこともありました。でも、それも若いうちにしかできない、必要な経験だったと思うんです。

——よく「人と比べないことが大切」と言われることもありますが、河内さんは「人と比べること」も必要だと思われるのでしょうか。

もちろんみんながみんなそうだとは限りませんが、成長のために必要な側面もありますよね。比べなければ気付けないこともありますし、実際、ぼくはそうやって成長してきたと思っています。20代から30代の頃のぼくは、本当に周りと自分を比べ尽くしましたね。

——もう自分は「比べきった」と。

比べきったからこそ、40代になった今は、第一線で活躍している方々を年齢関係なく心から尊敬しています。きっと20代のときなら嫉妬してしまうような方に出会ったとしても、今は素直に「この人みたいになりたい」と思えるんですよ。嫉妬心よりも、「この人のここを真似したら、自分はもっと良くなるかもしれない」と、客観的に相手を見られるようになった。

40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

人と比べるというのは、その人のようになれていない自分を直視することでもあります。今の自分に足りないものがあるから、その人と同じステージに立っていない。だからこそ、次のステージに進むためにも「人と比べること」も大切な経験だったとぼくは思っています。

いつか必ず花が咲くはず。だから、「頑張れ」と言いたい

——でも、もし自分で考えたとき、そうした悔しさや嫉妬心を持ちながらはたらき続けるのは、相当な胆力が必要な気もします。

そうなんですよ!でも面白いことに、自分を苦しめるのが人だとしたら、自分を助けてくれるのもまた人なんです。しんどい時期こそ内に閉じこもらず、誰かと会ったり話したりすることが大事ですよね。27歳のときのぼくはどんどん内に籠ってしまって、立ち直るまでに時間がかかりました。でも、そこから抜け出すきっかけをくれたのも、やっぱり人だった。それと今でも大切にしているのが、頑張って前向きに考えること。

——“頑張って”前向きに考える。

ぼくはもともとネガティブな性格なので、ポジティブでいられる人にずっと憧れてきました。だから最初は、ネガティブとポジティブは自分の心持ち次第だと言い聞かせて、無理にでも明るく考えるようにしていたんです。そうやって続けているうちに、だんだん前向きに考えることが自分にとっては習慣になって、今では自然と前向きに考えられるようになりました。「こうなりたい」と思ったら、そうしないと気持ちが悪いくらいになれればこっちのもんですから。

40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

——すごいです。河内さんは置かれた状況に対して、自分自身を変容させてきたからこそ、早いと感じられる今になったのかなと思いました。

ありがとうございます。あとは、ちゃんと言葉にもしてきたなと思っていて。「こんなふうになりたい」「こういうことをしたい」と、あえて人がいるところで口にするんです。そうすると自分もその言葉を聞いているし、周りの人も聞いているから責任が生まれます。

自分は「言ったからにはやらないと」と思うし、周りの人も、もし機会があったときにぼくのことを思い出してくれるかもしれない。振り返ってみると、そうした積み重ねがご縁につながってきたのかなと思います。自分自身、ずっと「映像作品に出たい」と言い続けてきましたから。

——最後に、スタジオパーソルの読者であるはたらく若者に、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするためのアドバイスをお願いします。

今でもぼくの支えになっている言葉の一つに、「忍耐が花を咲かせる養分になる」があります。これは俳優の白石加代子さんが雑誌のインタビューでおっしゃっていた言葉で、新潟で修行していた20代の頃からずっと大切にしてきました。耐え忍ぶほど、それが養分となっていつか花が咲く。それを信じてきたから、ここまで続けてこられたんだと思います。これからも夢を目指している限り、きっと忍耐の時間はあるでしょう。でも若い頃に耐え忍んできた経験があるから、きっと大丈夫だと思えるんです。

40歳までバイト生活→47歳でアカデミー新人賞。『VIVANT』俳優・河内大和が「ぼくは遅咲きじゃない」と語る理由

今の時代は、若いうちから何かを成し遂げている人や、輝かしい活躍をしている人の情報を目にする機会も多い。焦ってしまう気持ちもあるかもしれません。でも、もし10年後にきれいな花が咲くと思っていたら、その花を大切に育てたくなるはず。最近は「頑張れ」とあまり言わないほうがいい、とも言われますけど、ぼくは頑張るって素敵なことだと思っています。だから伝えたいんです、「頑張れ」って。ぼくももっともっと頑張りますから、皆さんも一緒に頑張っていきましょう。

「スタジオパーソル」編集部/文:田邉なつほ 編集:いしかわゆき、おのまり 写真:曽川 拓哉

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