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「布団の中で凍死」「風呂で溺死」…検視官が見た高齢者の不審死の真相と孤独の正体

「布団の中で凍死」「風呂で溺死」…検視官が見た高齢者の不審死の真相と孤独の正体

高齢者が自殺してしまう原因

もう一つは老人の自殺という問題がある。

これも私の確固とした考えの一つなのだが、老人の場合、自殺と言うが、自殺ではない。自分で自分の命を絶つから、たしかに自殺になってしまうが、その動機は十分すぎるほど他殺である。

なぜか。

たとえば自殺した老人は自分の息子たち夫婦と一緒に生活している。ところが、その身内から一人だけ疎外されている。

年寄りは体力もないし、収入もない。弱者で、若い人たちの負担になっていて、疎外されてしまう。長く生きてきた老人にとっては、信頼する身内から疎外されることに耐えられないほどの孤独を感じるのである。

家族がもっと温かい対応をしていさえすれば、死なずにすむことがいかに多いか。

その孤独に耐えられなくて自殺する。それはむしろいじめに近い。だから大きな視点で見れば、殺人事件と見られなくもないのだ。

これはいじめによる子どもの自殺と同じ構造になる。子どもは学校へ行きたくない。学校へ行けばみんなから一人だけターゲットにされ、意地悪をされてしまうから足が遠のく。それを両親に訴える際に、子どもは表現力に乏しいから、ただ「学校へ行きたくない」と言う。親は何とか学校に行かせようと、口先だけで、本人の気持ちも考えずになだめすかしたりするだけなのだ。

親がしっかりした対応を取っていないから、学校へ行かないどころか、最悪の結末を迎えることだって起こり得る。

自殺の背景にあるもの

子どもに寝込みを襲われた両親もいるし、あるいは、いじめるガキ大将を殺しに行った子どももいる。さらには誰にも反抗できないで首を吊って死を選ぶ子どももいる。

子どもが学校に行きたくない理由は、そもそも仲間から一人だけ疎外された、その侘しさ、孤独感からはじまっているのだ。

だから年寄りにしても一人暮らしだけが孤独なのではない。信頼する身内から一人だけ除け者にされた状況が侘しく孤独なのだ。

その辺りをきちんと身内のものが理解してあげれば、老人の自殺は防げる。自殺、自殺と言うが、私が検死した老人の自殺の八割から九割は他殺に等しいような感じを受けた。

溺れる原因もそうだし、餅などの誤嚥もそうだが、老人の体と心というものをきちんと理解してあげるということが今我々に必要だ。

現在、国民全体が豊かな生活を送れているのは、今の老人が若いときに汗水を流して働いてきた結果だ。それがあって豊かな生活ができていることを忘れてはいけない。後輩たちは先輩の苦労を認めて尊敬する。そういう考え方を持ち合わせないといけないと私は思っている。

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