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九州工業大学が挑む超小型衛星「VERTECS」 宇宙の歴史を探る大学の挑戦

宇宙開発というと、どうしてもNASAやJAXAなどによる大規模な宇宙プロジェクトを思い浮かべる人も多いかもしれません。ですが今、大学から宇宙へ挑む研究が少しずつ広がっています。

そのひとつとして注目を集めているのが、九州工業大学らが開発を進める超小型衛星「VERTECS(ヴァーテックス)」です。約10cm×20cm×30cmというコンパクトな機体に、宇宙の歴史を探るための観測技術が詰め込まれているといいます。

今回、九州工業大学では、このVERTECSのお披露目会を開催。クリーンルーム内で衛星本体も公開され、大学発の宇宙研究がいよいよ宇宙へ向かおうとしている空気感が伝わる内容となっていました。

“宇宙の始まり”や“星が生まれてきた歴史”を、小さな衛星で探ろうとする挑戦。そこには最先端技術だけでなく、「宇宙をもっと知りたい」という純粋なロマンも感じられます。今回は、そんなVERTECSプロジェクトの概要や、お披露目会の様子について紹介します。

九州工業大学が挑む「VERTECS」プロジェクトとは

九州工業大学が開発を進めている「VERTECS(ヴァーテックス)」は、“超小型衛星”という形で宇宙の謎に挑もうとしているプロジェクトです。
VERTECSは、約10cm×20cm×30cmというコンパクトなサイズの衛星です。手荷物ほどのサイズ感でありながら、その内部には宇宙を観測するための技術が詰め込まれています。

この衛星が目指しているのは、「宇宙背景放射」と呼ばれる光の観測です。少し難しく聞こえますが、簡単に言えば“宇宙に残り続けている昔の光”を調べる研究になります。
宇宙には、星や銀河が生まれる過程で放たれてきた光が存在しているとされており、それらを観測することで、「宇宙がどのように現在の姿になったのか」を探る手がかりになると考えられています。
つまりVERTECSは、単なる小型衛星ではなく、“宇宙の歴史を読み解くための挑戦”でもあるのです。

今回のプロジェクトは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「JAXA-SMASH」という取り組みの中で採択され、開発が進められてきました。大学による超小型衛星開発を後押しするプロジェクトのひとつであり、研究機関や企業と連携しながら宇宙利用を広げていくことも目的のひとつとなっています。

近年は、衛星技術の小型化によって、以前よりも多くの大学や研究機関が宇宙開発へ参加しやすくなってきています。そんな流れの中で誕生したVERTECSは、「大学から宇宙へ挑戦する時代」を象徴する存在のようにも感じられます。

また、“可視光”を使って宇宙背景放射を観測するという点も、このプロジェクトの特徴のひとつです。私たちが普段目にしている光に近い波長を利用しながら、宇宙初期から現在までに放たれてきた光を観測することで、星や銀河がどのように形成されてきたのか、その歴史を解明しようとしています。 宇宙研究というと、どうしても遠い世界の話に感じてしまいがちです。しかし今回のプロジェクトには、“小さな衛星でも宇宙へ挑戦できる”という時代の変化や、研究者たちの夢、そして未来への可能性が詰まっているように感じられました。

VERTECSプロジェクト参画機関

【JAXA-SMASH参画機関】

  • 九州工業大学
  • JAXA宇宙科学研究所(ISAS)
  • 関西学院大学
  • 東京都市大学
  • 金沢大学
  • 東京科学大学
  • 福井大学
  • 株式会社コシナ
  • セーレン株式会社
  • 株式会社イメージ・テック

【国際共同研究機関】

  • 國立清華大学
  • 國立中興大学

お披露目会で公開された“未来へ向かう衛星”

2026年5月14日、九州工業大学 戸畑キャンパスでは、超小型衛星「VERTECS」のお披露目会が開催されました。会場ではプロジェクト概要の説明に加え、クリーンルーム内で衛星本体も公開され、宇宙開発が少しずつ現実として進んでいることを感じさせる場となっていました。

当日は、革新的宇宙利用実証センターの北村健太郎センター長による挨拶に続き、大学院工学研究院 宇宙システム工学研究系の佐野圭助教がプロジェクトについて説明。研究内容だけでなく、VERTECSが目指している挑戦についても紹介されました。
特に印象的なのは、“大学発の衛星プロジェクト”でありながら、実際に宇宙へ向けた打上げ段階まで進んでいる点です。

宇宙開発というと、一般の人からするとどこか遠い存在に感じられることも少なくありません。しかし今回公開された写真からは、研究者たちが実際に手を動かしながら開発を進めてきた空気感や、「本当に宇宙へ送り出す」という現実味も伝わってきます。
また、公開されたVERTECS本体は、想像以上にコンパクトなサイズ感です。それでも内部には観測機器や制御システムなど、宇宙空間で運用するための技術が凝縮されています。限られたサイズの中に多くの技術が詰め込まれていることを考えると、超小型衛星開発の奥深さも感じられます。

今回のお披露目会では、クリーンルーム内の様子も公開されました。クリーンルームは、人工衛星のような精密機器を扱うために、空気中の微細なホコリなどを極力抑えた特別な空間です。宇宙へ送り出す衛星だからこそ、わずかな異物混入も避ける必要があり、こうした環境の中で慎重に作業が進められています。
普段なかなか目にすることのない研究現場が公開されたことで、“宇宙研究の裏側”を少し身近に感じた人もいたのではないでしょうか。

さらに今回のプロジェクトには、単なる研究開発にとどまらない魅力もあります。宇宙開発という大きなテーマに、大学や研究者たちが挑戦し続けていること自体が、多くの学生や子どもたちにとって夢や憧れにつながる存在になっているようにも感じられます。 「宇宙は特別な人だけのものではない」――。VERTECSのようなプロジェクトには、そんなメッセージも込められているのかもしれません。

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