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「子どもは守られる。でも親は誰が守るのか」元巨人監督の“長女暴行容疑”で浮かぶ、家庭内DVの見えない地獄

「子どもは守られる。でも親は誰が守るのか」元巨人監督の“長女暴行容疑”で浮かぶ、家庭内DVの見えない地獄

巨人元監督の阿部慎之助氏が長女への暴行容疑で逮捕されたニュースは、社会に大きな波紋を広げている。2020年の児童虐待防止法の改正以降、かつては「しつけ」とされていた行為も厳格に摘発されるようになり、児童虐待の検挙数も増加。

しかし、こうした厳格な運用の陰で、子どもからの暴力にさらされ、法的・社会的に孤立を深める親たちの悲痛な実態がある。

児童虐待の境界線

5月25日夜、巨人監督だった阿部慎之助氏(47)が長女(18)への暴行容疑の現行犯で逮捕された件で、賛否両論の議論が巻き起こっている。

昔はしつけの一環で親が子どもに手をあげることはあったが、2020年4月施行の児童虐待防止法等改正により、親権者等によるしつけに際する体罰禁止が明確化された。

2024年には児童虐待で摘発した件数は2649件で過去最多となっており、法改正の影響があることがうかがえる。

東京都に住む、シングルマザーの佐川美南さん(44歳・仮名)も娘への暴力によって、逮捕された経験がある。

佐川さんの娘は小学6年生で不登校児。不登校になったきっかけは学校でのいじめだ。

一度、発達障害のテストを受けさせてみたところ、知的障害はなく自閉スペクトラム症(ASD)と診断された。娘は家での暴力が激しく、気に食わないことがあると大暴れし、部屋にあるおもちゃなどを投げては、大きい声で喚き散らす癖がある。

「部屋を片付けなさいと言っても、まったく片付けてくれませんでした。あきらめて、私が片付け始めると気に食わなかったのか、掃除した部屋におもちゃをぶちまけてまた汚します。こういうことが続くと私のメンタルもどんどん耐えられなくなっていきます。家の中だけではまだしも、外に一緒にいる時に娘のかんしゃくが治らなくなった時がありました」(佐川さん、以下同)

娘も常にかんしゃくを起こしているわけではない。いつもは一緒にファミレスでご飯を食べたり、公園に行ったりと仲が良く穏やかな時も多い。だが、道端で突然感情が爆発する娘に耐えきれなくなり、人通りの多い道で親子喧嘩のようになってしまった。

「腕を掴んだ」だけで現行犯逮捕

「いいかげんにして! と私もキレてしまいつい、娘の腕を強くつかんでしまいました。娘は突然のことにびっくりしたようで、大声で泣き始めました。その瞬間を見ていた通行人に警察に通報されてしまいました」

はっと我に返って、娘に謝ってなんとか場を収めようとした。しかし、娘をあやしている最中に警察が到着した。

「通報が入り、お子さんを保護しにきましたと警察には言われました。児童相談所にも電話をされたようで、娘は児相に引き取られていきました。私は逮捕され事情聴取を受けました。状況を警察に説明してもまったく聞き入れてもらえませんでした。私は1日だけ留置されて翌日に釈放されました。後日、任意捜査により不起訴となりました」

留置されている間に娘は児童相談所に引き取られた。その間、児童相談所の職員と面談をし、娘をどうするか相談した。

「娘も児童相談所で『なんで私はここにいるの?』って言っていたみたいです。『ママは何にも悪くないのに、家に帰りたい』って児童相談所でも大暴れしていたようで、職員も手を焼いていたそうです。

それもあってか、“お母さんが育てる気があるなら返します”と言われました。私はちゃんと育てているつもりだったので“娘は引き取ります”と伝え、娘を連れて家に帰ってきました」

月に2回ほど児童相談所の職員が面談にきて、家庭の事情などを根掘り葉掘り聞かれる。精神状態はどうだとか変わったことはないかなど当たりさわりのない内容だ。

「家で娘と揉めていて、顔面を思いっきり殴られたことがありました。暴力はふるわれ慣れていたのですが、なぜかそのときだけはもうこの子を育てることはできないと心が折れてしまいました。こちらから児童相談所に電話をし、もう育てられませんと弱音を吐いたこともあります」

その後、児童相談所が家に来て、娘を引き取っていった。佐川さんは安堵した反面、本当にこれで良かったのかと、心にモヤモヤも残ったという。

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