いざ購入を決意し、新築マンションのモデルルームや中古マンションの内見に行ってみたものの、どこをチェックすべきなのか分からない…そんな人も多いのではないだろうか。
7回マンションを購入した経験を持つ元フジテレビアナウンサーの西岡孝洋氏に、絶対にチェックすべきポイントと、後悔しない物件選びのための実践的なノウハウを余すところなくきいた。
馬鹿にされがちな「マンションポエム」こそ重要
マンションを買う時に、具体的に見るべきポイントはどこだろうか。
間取りや眺望といった目に見えやすい条件ばかりに気を取られがちだが、西岡氏が新築マンションでまず注目するのは意外にも「ゼネコン(建設会社)」だという。
「やはり鹿島建設や大成建設、清水建設といった『スーパーゼネコン』と呼ばれる大手が造ってくる建物は良いですし、安心感があります。というのも、僕が最初のマンションを売却しようとした時期に、耐震性が偽装された『姉歯事件』が起きた。知人がまさにその偽装物件を買ってしまい、『もう売れない』と嘆いていたのを間近で見ていました。なので、どこが造ったマンションなのかは、しっかり確認しなければならないと思っています」
さらに「管理」も大切だという。
「マンションは『管理を買え』と言われるくらい、管理が大事です。居住性に直結しますし、修繕の問題もこれからのインフレ時代に大切になってきます。その点で大手の管理会社はノウハウが蓄積されているため安心です。中古などで管理が不安な場合は、近年導入された『マンション管理適正評価制度』という星付けのシステムや、自治体が認定する『管理計画認定制度』がありますので、確認することをおすすめします」
また、「これは個人的な趣味や資産性の話になりますが」と前置きしつつ、設計会社に着目するのも面白いと語る。
「設計会社にマンションの個性が出ます。私は、ホシノアーキテクツという設計会社が好きですね。『パークタワー勝どき ミッド/サウス(中央区)』や『ザ 豊海タワー マリン&スカイ(中央区)』、『パークコート神宮北参道 ザ タワー(渋谷区)』などのデザインが素晴らしく、見ているだけでご飯何杯でも食べられちゃいます(笑)」
さらに、西岡氏が物件選びにおいて非常に重要視するのが「マンションは哲学を買うもの」という考え方だ。哲学というのは、すなわち、そのマンションが何を大切にしているかということだ。
「そのマンションの哲学が何なのかは、ホームページのコンセプトやムービーを見れば結構分かります。例えば私が過去に住んでいた『スカイズ タワー&ガーデン(江東区)』のモデルルームでは、このマンションで育った子どもが宇宙飛行士になるというコンセプトムービーが流れていました。いま販売中の『セントラルガーデン月島 ザ タワー(中央区)』は『ゆるやかに流れる、森の時間。』と銘打って、敷地内に豊かな緑を配置しています。『パークタワー勝どき』ならムービーに外国人を多く起用して、『国際都市』のようなイメージを演出していると感じました」
マンションの公式ホームページには、よく美しい言葉を並べたキャッチコピーが掲載されており、ネット上では揶揄を込めて“マンションポエム”と呼ばれることもある。しかし、西岡氏はこれを決して読み飛ばしてはいけないと語る。
「あれをただのポエムだと思って馬鹿にせず、『どういう風にここに住んでほしいのか』というデベロッパーからのメッセージとして読むことが大事です。子供のことを強く打ち出しているならキッズルームが充実しているなど、哲学は実際の建物に現れます。規模の小さなマンションではなかなか明確な哲学を打ち出しにくいため、ここでも『デカい(規模の大きい)』物件が有利になるのですが」
マンションを単なる金融商品や資産として割り切る専門家もいるが、西岡氏のスタンスは明確だ。
「家を買うのは『結婚』と同じで、フィーリングが合うかどうかがすごく大事です。万が一市場が崩壊したら最後に一生住む場所になるかもしれないのですから、自分に合う哲学を持っているかは必ず見るべきです」
それでは、哲学に共感してモデルルームに足を運んだ場合、具体的にどこをチェックするべきなのか。
モデルルームの鉄則は「オプションをはがし、上を見よ」
モデルルームで豪華な内装や設備に目を奪われてしまう人は多い。しかし、西岡氏は「部屋の雰囲気をそのまま判断するのはよくない」と語る。
「モデルルームにはオプション(別途お金を払って追加できる設備やデザイン)が入りまくっています。ですから、私が入室して最初にやるのは『どれがオプションですか? 標準設備はどれですか』と訊き続けることです。オプションが少ない子供部屋などを確認して、本物に近いイメージを高めることが重要です」
そして、室内で必ず確認すべき最も重要なポイントが「上」である。
「部屋の広さを見るために下の方を見がちですが、上の方が圧倒的に大事です。具体的には『天井高』と『窓のサッシ高』です。ここは後からどんなに頑張っても変えられない部分であり、居住快適性に直結します。また、水平の柱によって天井高が低くなる箇所、いわゆる『下がり天井』の有無も、モデルルームや図面で確実にチェックしてください。私自身、過去に天井高やサッシ高が低くて圧迫感があり、購入を見送った経験が何度かあります」
では、逆に追加料金を払ってオプションをつけるとしたらどこにお金をかけるべきか。西岡氏は「水回りの高級感」が、のちの資産価値を大きく左右すると語る。
「リビングの壁紙をエコカラットにするなどのオプションは、個人の好みの問題であり、実は資産価値にそこまで影響しません。しかし、キッチンの天板(フィオレストーンなど)のグレードや、カウンター側面の壁紙部分を天板と同じ石素材で床まで下ろす『張り下ろし』などは、見た瞬間の高級感が全く違います。また、お風呂やトイレといった水回りのグレードを上げておくことは、将来売却する際に次の購入者から高く評価され、全体の資産価値の向上に寄与する可能性があります」
さらに、夫婦でマンションを選ぶ際の重要なスタンスについても言及する。
「家の中で奥さんが最もこだわる場所の一つがキッチンです。だからこそ、キッチンに関しては奥さんがやりたいと言ったオプションは基本的に入れた方が良い。夫婦の良好な関係に寄与します。そして実は、売却時にも有利になるかもしれません。同じマンションで競合が出た時、勝敗を分けるポイントになりうるのは水回りの強さです。次の購入者も奥さんの意見を重視する可能性があるからです」

