一昨年、北海道の江別市で大学生・長谷知哉さん(20)が集団暴行を受けて死亡した事件。強盗致死などの罪で起訴された男女6名のうち、3名の公判が5月25日から始まった。なぜ、少年らの暴行はこれほどまでエスカレートしてしまったのか――。これまでの集英社オンラインの取材と、今回の公判で明らかになった事実を踏まえ、事件を振り返る。
「ムカつくやつがいるからボコろう」「一緒にこないか?」
事件当時、八木原被告は被害者の長谷さんと交際関係にあった。事件の発端は、長谷さんが八木原被告に別れ話を切り出したことだ。
川村葉音被告は八木原被告から電話で長谷さんとの「別れ話」を相談され、当時17歳のA、当時18歳で事件の主犯格とされる川口侑斗被告、当時18歳の元高校生・瀧澤海裕被告、当時16歳のDの4人の少年とともに、「殴るから来いよ」などと言って長谷さんを公園に呼び出した。(※氏名の公表されていない少年二人については、これまで集英社オンラインで報じてきた通り、A、Dと表記する)
このうち川村被告と交際していたAは長谷さんと面識があったが、川口被告、瀧澤被告、Dは面識がなく、この日が初対面だった。
裁判で読み上げられた供述によれば、川口被告はこの時、「2人の別れ話を解決したいと思っていた」と考えていたと言うが、5人で公園へ向かう車内では、すでに不穏な空気が漂っていたようだ。
「公園へ向かう車内で、川村被告が『(長谷さんは)ボクシングをやっているけど大丈夫? やるの?』と発言。実際は長谷さんにボクシング経験はなかったが、川口は川村に“煽られている”と感じ、腹を立てたと言います」(社会部記者)
集英社オンラインが事件直後に知人に取材したところによると、川口被告は過去には少年野球に打ち込んでいたが、事件当時は金髪にし、身なりも派手で、恐喝などを働くこともあったという。
「川口は、イキっているようにしか見えないすけど、一応ヤンキーで、18歳にもなって恐喝とか『まだそんなことしてるんかよ』って感じのことをしていました。恐喝は、すすきのとか大通りで、気弱な感じのやつを狙ってやってました。実際に見たこともあります。
あいつは弱い相手にしつこくて、相手がギブアップしたらさすがに俺らが止めますけど、あいつはやり続けるタイプです」(知人)
知人によると、川口被告は事件前にインスタグラムのDMでこう呼びかけていたという。
「『ムカつくやつがいるからボコろう』『一緒にこないか?』と、仲間を集めていた。僕も声をかけられましたが、ガキっぽいし変に巻き込まれたくないので相手にしませんでした」
川口被告は「今すぐ土下座しろ」と動画を撮影し始めた
午後11時頃、八木原被告と長谷さん、そして川村被告、川口被告ら4人は公園で合流。長谷さんと少年らの間でやり取りがあり、さらに人気のない場所を求め、事件現場となった別の公園へ移動した。
「移動先の公園で川村が長谷さんに『謝った?』と聞いたところ、長谷さんは『謝りました』と答えたそうです。しかし八木原は『許す気ない、許せない』と頑なだったと言います。そこに離れたところで煙草を吸っていた川口が加わり、長谷さんに『説明しろ』と迫った。
川口の供述によると、長谷さんが八木原との交際について、『付き合う経験がしたかったから付き合った、大学生のうちならいいと思った』と言ったことに川口は腹を立て、『舐めてるのか』と、長谷さんの腹を殴ったそうです」(事件記者)
長谷さんへの暴力が始まった瞬間だった。
川口はさらに、顎を右拳で殴りつけ、しゃがみこんだ長谷さんの腹部を10回にわたり蹴りつけた。そして地面に倒れ、「あー」と苦しい声を上げる長谷さんを、「早く立てや」と言いながらさらに3回ほど、蹴りつけた。
「その間、瀧澤とDは笑いながらそれを見ていたそうです。川口被告は長谷さんに『今すぐ土下座しろ』と迫り、スマートフォンで動画を撮影し始めた。川口被告はその理由を『楽しい雰囲気を残すため』などと供述している」(同前)
川口被告につられるようにして、川村被告は「調子乗るなよ、触んな」と、長谷さんの顔を5〜10回踏みつけた。そして暴力は少年AやDたちにも伝播し、エスカレートしていった。
「長谷さんは八木原被告に対し必死に謝罪を続けたが、八木原被告は『許せない』と言い、暴行を傍観していた。その後、川口被告は『服に血がついた。弁償しろコラ』と長谷さんに金銭を要求。川村被告も『ウチもついた。金払え』と、これに便乗した」(同前)

