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「迎撃音の中でネイルを…」ドバイ在住10年の日本人ネイリストが明かす“戦時下の日常”と「ドバイ案件」の真実

「迎撃音の中でネイルを…」ドバイ在住10年の日本人ネイリストが明かす“戦時下の日常”と「ドバイ案件」の真実

ドバイに10年住み、現地のムスリム女性たちからネイリストとして絶大な信頼を得ている森下ひかるさん。中東情勢が緊迫する中、それでも彼女がドバイに残り続ける理由には、現地の人々への深い恩義と、クリエイターとしての強い意志がある。そんな彼女にSNSで話題の「ドバイ案件」の実態から、平和への願いを込めた表現活動、そして今後の展望を聞いた。(前後編の後編)

ドバイ案件の実情は?

ドバイを拠点に世界をまたにかけるネイリスト森下ひかるさん。中東の緊張が続く今もこの地に残り、SNS発信や様々な活動を通じて平和への思いを発信し続ける。その活動の実態と今後の展望を語ってもらった。

――ドバイというと、日本ではSNSなどで「ドバイ案件(女性が高額な報酬と引き換えに非人間的な行為を要求される)」といった真偽不明の噂が話題になることがありますが、実情はどうなのでしょうか。

森下ひかる(以下、同) 私自身、ドバイに10年住んでいて毎日現地の人たちと交流していますが、ドバイ案件、いわゆるヤギ事件のような過激な話は現地で一度も聞いたことがありません。

たしかに、ドバイや中東では現地の男性の権力が強いと思います。女性を護るために設定された規則がたくさんあるものの、国ごとの文化や都合で現代の法律ではそれをうまく逆手に取り、男性に好都合な仕様に曲げられている場合も正直多い印象です。一方で、時代とともに女性の権利がどんどん尊重されるようにもなってきました。

娼婦のような女性もいますが、ドバイ案件のようなものに関わってしまうのは、自らその道に足を踏み入れようとしたごく一部の人たちだけだと思います。普通に生活をして、懸命に仕事をしている分には全く無縁の世界ですね。

迎撃音の中、ネイルをすることも

――現在、中東情勢が緊迫しています。ミサイルが飛んでいるような状況下でも、ドバイに居続ける理由は?

たしかに、アメリカとイランの対立が深まったり、中東全域の空港が停止したりと、空域にミサイルが飛び交うような緊迫した局面はあります。日本の駐在員の方々に避難指示が出ることも珍しくありません。

ただ、誤解してほしくないのは、ドバイ内部の治安自体は極めて良好だということです。徹底した監視カメラの設置や厳格な警察制度により、スリなどの犯罪はほとんどなく、日常生活を送る上では非常に安全な場所なんです。

有事の際に慌てて帰国するのは外国人が中心で、この地に根を張っている現地の人たちは驚くほど落ち着いています。彼らの動じない姿や母国への強い愛着を間近で見ていると、外側から見る「危ない場所」というイメージと、内側の実態には大きな乖離があるかもしれません。

――施術中に迎撃音が聞こえることもあるそうですが、怖くはありませんか。

ネイルを塗っている最中に迎撃音が響く……それが日常の一コマのようになっている面はありますね(苦笑)。それでも私がここに残る最大の理由は、現地のムスリムの女の子たちへの強い恩義があるからです。

彼女たちは、誰かに頼るのではなく、自分で一生懸命働いて貯めたお金で「自分のため」にネイルをしに来てくれます。そんな彼女たちのひたむきな日常に、私自身が救われ、自分の存在意義を実感させてもらいました。

凄惨なニュースばかりが流れる中、彼女たちに寄り添い、ネイルを通じて平和でクリエイティブな時間を提供し続けること。それが、現地の真実を知らずに断片的な情報だけで語られる世界に対する、私なりの「静かな抵抗」なんです。

――緊迫した状況下で、日本にいるご家族は心配されていませんか。

戦争が始まったとき、母や、実際に戦争を経験している祖母は「大丈夫? 生きてる?」とすごく心配して連絡をくれましたね。父や兄からは何もなかったのですが…(笑)。

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