3往復で終わる夜のメッセージ
彼の帰宅は、毎晩のように日付が変わる頃でした。私はベッドに入る前、決まって彼に「おかえり、今日もお疲れさま」と送るのが習慣になっていました。返事は判で押したように同じです。「ただいま」「今日も遅かったね」「うん」。3往復で会話が終わる夜が、半年ほど続いていました。最初は忙しい時期なのだと思っていました。けれど、半年です。3カ月、また3カ月と、同じやりとりだけが続く毎日。返信を打つ手は、いつの間にか機械的になっていきました。
触れたくない不安
休日もスマホばかり見ている彼の横顔を、私はそれとなくうかがうようになっていました。何を見ているのかは聞けません。聞いて「仕事のメール」と返ってきたら、それ以上踏み込めない気がしたからです。友人に相談すると「もう冷めてるんじゃない?」と言われました。
違うと思いたかったのに、否定する根拠が見つかりませんでした。ベッドの上で、彼の名前を画面に出してはトーク履歴を遡るのが、当時の私の癖でした。出てくるのは、ただいま、うん、ただいま、うん。3年付き合った相手とは思えない、短い文字列ばかりでした。
