福島県郡山市の磐越道でマイクロバスが道路脇に突っ込み、私立北越高校(新潟市)男子ソフトテニス部の生徒1人が死亡した事故。バスを手配した蒲原鉄道(新潟県五泉市)で運転していた無職、若山哲夫容疑者(68)=過失運転致死傷=を紹介した男性が集英社オンラインの取材に応じ「きっかけは私だと思ってます」と後悔を口にした。
若山容疑者にバスの運転が打診される前に、この男性に打診があったが多忙のため引き受けられなかったという。男性の証言からは人員不足から外部運転手が報酬を受けて部活動関連の運転をすることが蔓延している様子がうかがえる。
要注意人物だったはずの若山容疑者はなぜバスの運転席に座ることができたのか…
5月6日朝に起きた事故はバスが道路左脇のガードレールに突っ込んだ。ブレーキ痕は見つかっていない。
若山容疑者は元高校教員で陸上部の有力指導者として知られた人物で、教員を退職後、昨年3月まで3年間、新潟胎内市の市役所で非常勤職員としてマイクロバスを運転していた経験がある。
しかし、事故前の1か月ほどの間に5件以上物損事故を起こし、警察から免許返納を促されるほど行動や判断力に問題があった人物で、検察は刑事責任能力を調べる「鑑定留置」を5月22日から始めている。
蒲原鉄道の営業担当、金子賢二氏は、知人から紹介を受けた若山容疑者に運転を依頼し事故当日の出発前に「初めて会った」と説明。バスも金子氏が借りたレンタカーだった。
そうした状況になった理由について⾦⼦⽒は、男⼦ソフトテニス部の寺尾宏治顧問から「費⽤を安く抑えるためレンタカーと外部運転⼿の⼿配を頼まれた」と主張。これに対して寺尾顧問と北越高校は「そんな依頼はしていない」と反論している。
近所の人も若山容疑者の運転は危険だと思っていたと口をそろえる。そんな容疑者がどのような経緯で運転席に座ることになったのか。事情を知るA氏が集英社オンラインの取材に重い口を開いた。
Bさんから「誰かいたら紹介して」みたいなことを言われていた
A氏は胎内市の職員OBで、若山容疑者が市のバスを運転していたことを知る人物だ。
「若山さんは新しくできた学校の(陸上の)コーチを頼まれたか何かで市の運転手を辞めました。私も在職中に彼のバスに乗ったことがありますが異変は感じず、当時は運転が危険だという声は聞いていません。その後、今年の4月にたまたま再会しました。その時に彼は『1年契約の仕事が終わって今はなにもしていない』と言っていました。
その時『バスの運転できるよ』という話を聞いたので、免許は何を持っているんですか、とたずねると『大型2種を持っている』って言ったんです」(A氏、以下同)
「2種免許」とは営業目的で人を乗せて運ぶために必要なプロフェッショナル向けの最上位の運転免許だ。事故当時の夜、蒲原鉄道の茂野弘一社長は金子氏の説明を基に、若山容疑者は「大型2種免許を持っていると紹介を受けた」とメディアに説明したが、実際に容疑者は所持していなかった。
A氏の話が事実なら容疑者はこの時点でバスの運転手として自分を売り込み、虚偽の資格をアピールしていたことになる。容疑者の話を聞いたA氏は、蒲原鉄道の金子氏ではなく、金子氏と自分の共通の知人のB氏にその情報を伝えたと説明した。B氏は金子氏に頼まれてバスの運転手探しをしていた“バス会社側”の人物だという。
「Bさんからはその前に『(バスを運転できる)誰かいたら紹介して』みたいなことを言われていたんです。それで若山さんのことを『1年契約の仕事が終わって、今何もしてないという話ですよ』と伝えました。
それは5月6日に北越高校の男子ソフトテニスを運ぶという仕事の打診がくるより前の話です」

