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太陽系には「追放された氷の巨大惑星」がいたかもしれない――痕跡は、今も衛星に刻まれている

太陽系には「追放された氷の巨大惑星」がいたかもしれない――痕跡は、今も衛星に刻まれている

太陽系から追放された惑星はどこにいるのか?

Credit:Canva

これまで見てきたように、あの「大引っ越し」は、木星や天王星の衛星たちにとって、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際でした。

いま私たちが望遠鏡で目にする衛星たちは、その大混乱を運よくすり抜けた”生き残り”か、それとも一度こわされ、作りかえられた末の”二代目”か——。

どちらにしても、なに食わぬ顔で惑星のまわりを回るその姿の裏には、想像を絶する激動の歴史が隠れています。

もちろん、ここまでの話はまだ、コンピュータの計算が描き出した”もっともらしい筋書き”にすぎません。

衛星たちが本当はどんな運命をたどったのか、それをいま直接たしかめる手立てはありません。

その答えは、将来の探査や、より精密な計算に委ねられています。

それでも、一つだけ、はっきりと言えることがあります。

いま私たちが当たり前のように見上げている、この穏やかで整った太陽系は——惑星も、衛星も、そして私たちが立つこの地球も——宇宙が何度サイコロを振っても、めったに出ないような”当たりくじ”の上に成り立っている、ということです。

そして、大引っ越しの際に太陽系からはじき出された”消えた惑星”が、いまどこにいるのかはわかっていません。

2023年、ニュージーランドの望遠鏡(MOA)にもとづく研究では、天の川銀河には恒星の約20倍もの”浮遊惑星”があり、その数は数兆個に達すると見積もられています(浮遊惑星の多くは、元の星系から弾き飛ばされたものと考えられています)。

45億年前の大引っ越しの余波で太陽系を追われた惑星も、これら数兆個の漂流者に混じって、いまも銀河をさまよっているのかもしれません。

それでも、浮遊惑星の観測がこの先進めば——惑星が”家族”からはじき出されるしくみが見えてきて、あの”ひとつだけ空いた家族写真”の謎に、また一歩近づけるのかもしれません。

元論文

The fragility of the Uranian moons during the giant planet instability
https://doi.org/10.1016/j.icarus.2026.117056

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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