古くなったタンパク質を、新しく作り替える
日常生活の中で、タンパク質の多くは古くなったり壊れたりして、体外に排出されるのですが、排出されなかったものは細胞内にたまってしまい、細胞の働きを衰えさせます。
これがさまざまな身体の不調や病気の原因になります。
一方で、人間の身体は食べたものから栄養を摂り入れ、必要なタンパク質を作り出しています。
ところが、さまざまな原因で栄養が入らなくなることがあります。
そのような場合には、身体はどうにかして「体内にあるもの」でエネルギーATPを作って、生存をはかろうとします。ATPはアデノシン三リン酸、a4denosine t4rip4hosphateのことで、細胞の「エネルギー通貨」として働きます。
ここで身体が活用しようとするのが、古くなったり壊れたりして細胞内にたまっているタンパク質なのです。これを集めて新しいタンパク質を作ると同時にATPを作ります。
この一連の働きが「オートファジー」です。
核のある細胞を持った生物のことを真核生物と呼びます。酵母のような単細胞生物も哺乳類も真核生物であり、すべての真核生物はオートファジーを行なっています。
この一連の働きは、以下のような流れで行なわれています。
(1)細胞内で不要になったタンパク質や細胞小器官を「隔離膜」が包み込む。
(2)それが「オートファゴソーム」となり、リソソームと融合して分解される。
(3)分解された成分は再利用され、新しいタンパク質やエネルギー源として活用される。
オートファジーの効果
●細胞の浄化:老廃物や異常タンパク質を除去し、細胞の健康を保つ。
とくに、神経細胞のような寿命の長い細胞は、オートファジーによって細胞内にゴミがたまらないようにすることができます。オートファジーによる浄化作用は、パーキンソン病とも深い関連があることが知られています。
●エネルギーの創出:身体が飢餓状態になったことを関知し、細胞内に蓄えていた成分を分解して、新たなエネルギー源を創り出す。
●代謝回転:細胞成分を新陳代謝させる働きがある。
体重60キログラムの成人の場合、身体の中で1日に約240グラムのタンパク質が作られています。これらのタンパク質の原料を食べ物の摂取だけで賄うことはできません。細胞の中のタンパク質も、リサイクルされているのです。このようにして、細胞の新陳代謝が起こっているのです。
●病気予防:がん、アルツハイマー病などの神経変性疾患、感染症などの予防に関係する働きがあるとみられている。
●アンチエイジング効果:細胞の若返りを促進し、肌や身体の老化を遅らせる可能性がある。
このようなありがたい機能を、私たちの身体があらかじめ備え持っているのですから、それを活かしていかない手はありませんね。
そしていまだ盛んな研究段階にあるオートファジーですが、活性化する方法として、生理学・医学的には次のように言われているのです。
●間欠的断食(インターミッテント・ファスティング)が有効。
空腹状態が続くとオートファジーが活性化しやすくなる。
●適度な運動や睡眠は細胞の代謝を整えオートファジーの働きをサポートする。
そのものズバリ、「16時間断食」が健康法として十分なエビデンスを備えていることがわかりますね。
オートファジーを身近な言葉で言うなら、「私たちの体の中で毎日静かに働き続ける細胞の掃除屋さん」です。
健康や美容、長寿に関心がある方なら、是非その内容を、ある程度は科学的に知っておきたいものです。

