
2026年11月号での休刊が決まっている、KADOKAWAの雑誌「ダ・ヴィンチ」2026年7月号表紙
【画像】「えっ、そうだったのか」 これがKADOKAWA「カクヨム」発だった2025年の大ヒット映画作品です(4枚)
「異世界作品」そのものが失速したわけではない?
KADOKAWAが月刊誌「ダ・ヴィンチ」の紙媒体を2026年11月号で休刊すると発表しました。6月からは45歳以上で一定の職級に属する勤続5年以上の社員を対象とした早期退職の募集もスタートします。「物言う株主」オアシスによる、夏野剛CEOの解任を求める動きも続いています。果たしてKADOKAWAはこれからどうなっていくのでしょうか?
「ダ・ヴィンチ」休刊の情報は、SNSで驚きをもって迎えられました。1994年にリクルートで創刊され、メディアファクトリーを経て2013年以降はKADOKAWAが出版していた「ダ・ヴィンチ」は、紹介が文芸に偏りがちだった時代から、マンガやライトノベルの特集を行うなど、時代の最先端を行く雑誌として存在感を放っていました。Webでの展開は続きますが、大きなカルチャーがひとつ消滅してしまうような喪失感を感じさせます。
「ダ・ヴィンチ」の休刊には、紙や印刷費の高騰、書店の減少、雑誌を読む習慣の減少など複合的な理由があると思われますが、やはり先日大きな話題となった、26年3月期決算が「営業益51%減」となったことは影響しているでしょう。売上高は約2829億円とプラス成長しており、決して悪くはありません。それでもKADOKAWAは、「異世界作品に偏重しすぎた」と声明を出してリストラを敢行しようとしています。
ただ、これは異世界作品のブームに陰りが見え始めているのかというと、そうとも言えません。
例えば、異世界作品を多く出している株式会社オーバーラップの2026年8月期第2四半期は、売上収益が約41億円、営業利益12億円と、かなりの高利益を達成しています。2025年に「水属性の魔法使い」でヒットを出したTOブックスも、売上高82億4900万円、最終利益9億4700万円と大きな利益を出しています。異世界作品は十分人気を獲得しているのです。
高度な要求を突き付けられている?
ではなぜKADOKAWAは異世界作品への偏重からの脱却を目指さなければいけないのでしょうか。それは、いまの異世界作品が生み出す市場と利益では、KADOKAWAの巨体を支えられなくなっているからだと考えられます。
オーバーラップやTOブックスは十分な売上と利益を達成していますが、KADOKAWAに要求されているのは2000億、3000億を超す売り上げと、それにふさわしい利益です。巨大メディアミックス企業がこの売り上げを達成するためには、常時複数のアニメをヒットさせる必要があるでしょう。
それは「不可能」と言い切ってよいほど困難です。かつて『葬送のフリーレン』が金曜ロードショーで1話を放送し、その後の放送時間枠を23時からに設定することにより、深夜にアニメを見る習慣を形作りました。いまは23時半からの枠でもアニメが放送されるようになり、現在は『スノウボールアース』が人気を集めています。このように、良質な作品を用意すればヒットをある程度デザインすることは可能です。
