「タクシーで迎えに行く」の一言
ラリーが10分ほど続いたあと、彼から届いたメッセージは「タクシーで迎えに行く」でした。家から駅までは車で20分。私はその間にも構内を歩き続けていて、ふと顔を上げた瞬間、目の前に大きな出口表示が現れたのです。さっき何度も通り過ぎていた場所でした。
あんなに見つからなかった出口が、こんなに堂々と存在していたのか。自分の方向音痴ぶりに笑ってしまいながら、外に出て「自力で出られた」と返信しました。すると「ごめん、待っててくれていいよ。もう出ちゃったから」と返事。彼はもうタクシーの中でした。
そして...
カフェで合流した彼は、開口一番「ごめん、俺もあの駅うろ覚えで」と苦笑しました。私が「ナビより頼りなかったよ」とからかうと、「ナビには勝てないって最初から思った」と笑い返してきます。
でも、本当はちょっと嬉しかったのです。私が「困った」と送った瞬間、彼が仕事を切り上げてタクシーに飛び乗ってくれたことが。
「すぐ駆けつけようとしてくれたのが嬉しかった」と素直に伝えると、彼は少しほっとした顔をしました。ナビなら数秒で済んだ道のりを、私たちは30分かけて遠回りしたけれど、出口が見つからなかった夜が、なぜか宝物みたいに感じられたのです。
(20代女性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
