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「お父さんは来なくていい」娘の言葉で、俺は塾近くの公園で2時間ベンチに座る父親になった

「お父さんは来なくていい」娘の言葉で、俺は塾近くの公園で2時間ベンチに座る父親になった

声をかけてくれた、ひとりの母親

そんなある夕方、ひとりの女性が俺のベンチに近づいてきました。緊張した面持ちで、それでもまっすぐな声で「あの……いつもこちらにいらっしゃいますね。お子さんのお迎えですか?」と尋ねてきたのです。

ようやく、と思いました。「あ、はい。すみません、不審に見えますよね」と頭を下げて、「娘が近くの塾に通っていて、待ち時間に……」と説明しました。「中3で受験生なんですが、『お父さんは来なくていい』って言うので、近くで待っているんです」。話しているうちに、自分でもおかしくなって少し笑ってしまいました。

女性は驚いた顔をして、次の瞬間、深く頭を下げてくれました。「いえ、こちらこそ……勝手な見方をしてしまっていて」と。その低頭で、ここ数週間ずっと抱えていた窮屈さが、少しずつほどけていきました。

そして...

別れ際、俺は「声をかけていただいて、本当はホッとしました」と口にしました。本心でした。事情を話せない時間がどれだけ続くのか、自分でも見通せなかったからです。

その後、公園で母親や子どもとすれ違うと、向こうから「こんばんは」と挨拶してくれる人が増えました。あの女性が事情を伝えてくれたのだろうと、勝手に想像しています。

受験本番までは、まだ数か月あります。娘は相変わらず「お父さんは来なくていい」と言い続けていますが、俺は変わらず公園のベンチで待ち続けるつもりです。娘が自立しようとしている時間を、近くで黙って守ること。それが、今の俺にできる父親の仕事なんだと思います。

(40代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

配信元: ハウコレ

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