本来は全長10センチほどの小さな鳥が、離島で本土個体を大きく上回るサイズに進化していた──。そんな驚きの研究結果が、スコットランドの島々で確認されました。
対象となったのは、スズメ科の小鳥「ミソサザイ」。イギリス本土では手のひらに収まるほどの小型種ですが、一部の離島では体の大きさが大幅に増し、独自の鳴き声や遺伝的特徴まで発達していることが明らかになりました。
研究者たちは、このまま独立した進化が続けば、やがてまったく新しい種へ分化する可能性もあるとみています。この研究論文は、2026年5月28日付けの『Evolutionary Journal of the Linnean Society』に掲載されました。
小さなミソサザイが巨大化。離島で起きていた独自の進化
イギリス・バーミンガム大学の研究チームは、スコットランドのシェトランド諸島、フェア島、アウター・ヘブリディーズ諸島、セント・キルダに生息するミソサザイ亜種を調査しました。
調査では体のサイズ測定に加え、鳴き声の録音や全ゲノム解析を実施。本土のミソサザイとの違いを詳しく比較したところ、2つの島の個体群で「島嶼(とうしょ)症候群」と呼ばれる進化現象の強い証拠が見つかりました。
島嶼症候群とは、島という隔離された環境で生物が独自の進化を遂げる現象のこと。その代表例のひとつが「島嶼巨大化」です。
これは、島に取り残された動物が、本土の近縁種より大きく進化する現象で、ガラパゴス諸島のゾウガメや、モーリシャスに生息していた絶滅鳥ドードーがよく知られています。今回、同じ現象がスコットランドの小さなミソサザイでも起きていたのです。
本土の2倍近い個体も。島ごとに独立して進化か
特に注目されたのが、シェトランド諸島とセント・キルダ島の個体群でした。
イングランドのミソサザイの個体は7〜10グラム程度ですが、セント・キルダ島では13〜16グラムに達する個体を確認。最大級の個体は、本土の最小個体の2倍を超える大きさだったといいます。世界の鳥類で報告されている島嶼巨大化の事例の中でも、上位25%に入るほど顕著な変化です。
さらに興味深いのは、その進化の過程でした。全ゲノム解析の結果、シェトランド諸島とセント・キルダ島のミソサザイは、見た目こそ似ているものの、遺伝的にはかなり異なることが判明。研究チームは、これを「平行進化」の一例だと考えています。
つまり、似た祖先を持つ鳥たちが別々の島へ渡り、それぞれ独立に巨大化した可能性が高いというわけです。
鳴き声にも違いがあり、本土のミソサザイとはかなり異なるパターンを示していました。見た目だけでなく、コミュニケーションの方法まで変化しつつあることになります。

