イマジカの最新技術を用いてのリマスター

ずいぶん前段が長くなってしまったが、これからが本稿の本題、88年11月3日に放送されたビートルズの日本公演について触れたい。昭和最後の文化の日の昼間、日本テレビ開局35記念年を記念して放送された『また逢えてよかった!! 今蘇るビートルズ プレスリー マイケル・ジャクソン 世紀の熱狂ライヴ!!』という特別番組の中で6月30日版が流れた。
1978年10月に「たった一度の再放送」として組まれた特番からちょうど10年、どういう権利関係を処理したのか、待望の再放送が実現した。ちなみに66年の放送は7月1日版だったので、78年は再放送ではない。初公開だったのだ。それゆえ「たった一度の再放送」の謳い文句には偽りがあり、88年こそ再放送となる。
ともあれ、10年前の放送には間に合わなかった身としてはうれしく、満を持して待機。録画準備をしてその瞬間を待った。タイトルからわかるように、この番組は日本テレビがかつて放送したビートルズ、エルヴィス(73年にハワイ公演)、マイケル(87年のBADツアー)のライブ映像を一気に紹介し、日テレが日本のエンタメ界に果たした貢献度をあらためてアピールしようとする意図を感じさせた。司会は当時『CNN』のキャスターで人気のあった山口美江、スポンサーは原ヘルスという並びはいかにもバブル絶頂期らしい。
このときの放送の最大の売りはハイクオリティの画質であった。イマジカが最新技術を用いてリマスターにあたったとのことで、従来の画質との比較する映像が流されるなどの解説がなされた。イマジカという社名が広く伝搬したという意味でもその効果は絶大だったと思われる。だが、個人的にはそれ以前のフィルムコンサートで劣悪なフィルム画質ばかり観て、それがあまりに馴染み過ぎていたため、確かにクリアにはなったように思ったものの、そこまでの感動はなかった。それよりも、途中で挟み込まれた当時を検証するドキュメントに好感をもったことを覚えている。
それとともに忘れられないのが、原ヘルスがこの放送のために作ったオリジナルCMである。64年ビートルズが初渡米の際に宿泊したプラザホテルのバスルームに同社の最新機種を装置し、その効果を試すと言うものであったが、こじつけでしかない演出に思わず失笑。その無駄こそが80年代バブル期を表しており、その時代その時代のビートルズが感じられ貴重な証拠といえる。現時点において、ビートルズの日本公演が公共放送に乗ったのはこれが最後。その放送はイマジカと原ヘルスという社名とともにビートルズファンの脳裏に色濃く刻まれた。
