部屋に届いた小さな花束
観光から戻り、二人で部屋へ向かいました。彼が扉を開けると、テーブルの上に小さな花束と、ケーキが用意されていました。カードには、彼の字で「記念日おめでとう」と書かれています。驚いている私に、彼はばつが悪そうに打ち明けました。「本当は、サプライズにしたかったんだ」ホテルに直接お願いして部屋の準備を整えてもらうために、予約を自分の名前だけにし直したのだそうです。
私に通知が届いて、計画がばれてしまわないように。フロントでうまく答えられなかったのも、隠しごとがあったからでした。うれしさと、少しのやるせなさが、一緒に押し寄せてきました。
そして...
彼の気持ちは、確かにうれしいものでした。私を喜ばせたくて、こっそり動いてくれていたのですから。それでも、フロントで名前が消えていたときに感じた心細さは、すぐには消えませんでした。私は思い切って、自分の気持ちを伝えました。隠されているようで不安だったこと、一言理由を言ってくれていたら、あんなに悩まずにすんだこと。彼は「ごめん、そこまで考えてなかった」と頭を下げてくれました。サプライズより、ふだんの小さな説明のほうが、私には大切なのかもしれません。次の旅行では、予約者の欄に二人の名前が並んでいるといいなと思いながら、私はケーキにそっと手を伸ばしました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
