これだけの惨状でも、プーチン本人はまったく動じていない
2026年5月5日から6月3日までのおよそ1ヶ月だけで、約240平方キロメートルの純減を記録したことになる。
ウクライナは年間700万機ともいわれるドローンを投入し、電子妨害を無効化する光ファイバー誘導ドローンを実戦に持ち込んだ。
戦場のリアルタイムデータ統合システム「Delta」が運用を広げ、迎撃ドローンの撃墜数は2026年春以降、急増している。ロシアが防衛突破の頼みとしてきた戦術無人機は、空中で次々に叩き落とされている。
そしてウクライナは、敵の前進を待たずに敵の生命線そのものを切りにいった。ロシアの鉄道と補給線への攻撃である。占領下ルハンスク州からクリミアに至るまで、補給路は日常的に脅かされ、前線から83キロメートル離れた燃料基地さえ焼かれた。
ロシア本土とクリミアを結ぶ陸上回廊では、ウクライナの特殊作戦部隊が後方支援車両を組織的に潰している。結果として占領地全体でガソリンが不足し、ケルチ大橋やガソリンスタンドには長い列ができた。前線で兵士を殺すより、後方で燃料を枯らす。ロシアは対抗手段を失いつつある。
ここで奇妙なのは、これだけの惨状にもかかわらず、プーチン本人はまったく動じていないことだ。彼は側近に「戦争は終結に向かっている」と語り、2026年末までにドンバス全域を占領できると固く信じている。
虚偽の報告を受け続けているプーチン
それはなぜか。答えは単純で、彼が嘘の報告しか受け取っていないからだという。
ISWの6月6日付分析によれば、参謀総長ワレリー・ゲラシモフは、自軍の惨めな成績を隠すため、戦果を膨らませた虚偽の報告を繰り返してきた。
今年4月、彼はヴェセリャンカやザポロジェツの制圧を主張したが、ISWはおろか、最も寛容な親露派の軍事ブロガーですら、その証拠を見つけられなかった。
前例もある。2025年8月、ゲラシモフはクプヤンスクの「約半分を制圧した」と報告し、それを真に受けたプーチンが10月に「3分の2を制圧した」と公言した。「5,000人のウクライナ兵を包囲した」とまで言った。すべて虚構だった。
ガーディアン紙(5月24日)はロシアのエリート層の動揺をこう伝えている。
「まったく無意味で自滅的な決定が繰り返されているという認識が広まりつつある。かつてプーチンを擁護していた人々も、もはやそうはしていない。未来への希望はすっかり失われてしまった」(ロシア経済界の関係者)

