隠しきれなくなった日
ある日、妻に封筒を見つけられました。差し出された封筒を前に、僕はうつむいたまま打ち明けました。
「……競馬で借金を作った」
問い詰められるうちに、母からこっそり小遣いをもらっていたことも、僕は白状しました。妻は、お義母さんに頼んで、もう僕にお小遣いを渡さないようにしてもらうと言いました。その瞬間、僕の口から出たのは、あまりに情けない言葉でした。
「お小遣いがもらえなくなるじゃないか!」
これだけのことをしておきながら、僕が守ろうとしたのは小遣いでした。妻の腕をつかんで止める自分が、どれほどみっともなかったか。妻は黙ったまま、かばんを手に取りました。
そして...
玄関で、僕は妻と並んで頭を下げました。妻が「お義母さん、お願いします」と切り出し、もう僕にお金を渡さないでほしいと伝えます。
話を聞いた母は、僕を見て厳しい声で言いました。「あなた、奥さんを騙して恥ずかしくないの」そして妻には、「甘やかしてしまった私の責任だわ」と言って、援助をやめると約束し、残った借金まで肩代わりすると申し出ました。
うつむく妻の背中を、母はそっとさすっていました。妻はお金を求めに来たわけではなかったのに、結局、僕はまた母に救われたのです。妻を裏切り、母に甘え続けた末に、二人に守られている。その情けなさを、僕は忘れてはいけないと思いました。
これからは隠さず、自分の足で返していきます。妻の隣に並べる人間に、もう一度なるために。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
