離れなかった手
友人と別れて、私たちは駅へと歩き出しました。すると彼が、ごく自然な動きで私の手を取ったのです。さっき友達と言ったばかりの人とは思えないほど、その手はしっかりと私の手を包んでいました。改札の前まで来ても、彼は手を離そうとしません。私は混乱していました。言葉では友達と言ったのに、こんなふうに手を握る。どちらが彼の本当の気持ちなのか、聞きたいのに聞けないまま、つないだ手の温度だけを感じていました。
そして...
結局その日、私はどうして友達と言ったのか聞けませんでした。傷ついた気持ちと、離れなかった手の温かさが、私の中で混ざり合っていたからです。彼の言葉だけを見れば、私はただの友達なのかもしれません。けれど、あの手のつなぎ方には、言葉にならない何かがあったように思えてなりませんでした。次に会ったら、今度は私の方から気持ちを伝えてみよう。そう決めると、握られた手の感触が、少しだけ心強いものに変わっていきました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
