リストに増えていく、苦手なものたち
買い物アプリの共有リストは、もともと二人で使うために始めたものでした。牛乳が切れたら私が書き足し、彼が仕事帰りに買って帰る。そんな小さなやりとりが、同棲生活のささやかな楽しみだったのです。
それなのに、ここ最近は様子が違いました。リストに並ぶのは、ピーマン、セロリ、パクチー。どれも、私が苦手だと前に話したはずの食材ばかりです。一度や二度なら偶然と思えました。けれど、買い物に行くたびに新しい苦手な食材が書き足されていくのを見て、私はだんだん落ち着かなくなっていきました。
聞けないまま、膨らんでいく想像
どうして私の苦手なものばかり増えるのだろう。直接聞けばいいだけの話だと、自分でもわかっていました。それでも、その一言がなかなか言い出せませんでした。私の話を、ちゃんと聞いていなかったのかもしれない。それとも、好き嫌いの多い私を、それとなく直そうとしているのかもしれない。考えるほどに、悪いほうへ悪いほうへと想像が伸びていきます。それでも私は、面と向かって切り出すきっかけをつかめないまま、リストの画面を何度も開いては閉じていました。
