・見た目と柔らかさは市販品
パッと見た時の印象は、アイラップ湯せんが上手くいったこともあり、自作版も市販品とそこまで変わらない。しかし、包丁を入れて断面をよく観察すると違いが見えてきた。
市販のローストビーフは表面スレスレのところまで、きれいなレアの赤身が均一に広がっているのだ。
対する自作版は、ところどころ火の入り方にムラがある。家庭調理としては十分な仕上がりだが、見た目の美しさに関しては、やはり市販品が一枚上手と言わざるを得ない。
そして今回、もっとも驚いたのが肉の柔らかさである。
どちらも同じオーストラリア産の牛肉を使用しており、同じくらいの厚みでカットした。それなのに、市販品は自作と比べて非常にしっとりしており、スッと噛み切れてしまうのだ。
対する自作版は、前回よりもレア気味に仕上がったにもかかわらず、市販品のようにスムーズには噛み切れない。どうしてもナイフで切り分ける必要があった。両者には見た目以上の差があると言っていい。
・肉の存在感なら自作版
しかし、味になると話は少し変わってくる。
今回は両者に同じソースをかけ、できるだけ条件を揃えたうえで比較してみた。
市販品は、まさに誰に出しても大丈夫な味という印象だ。安定しておいしく、完成度が高い。そつなく仕事をこなしてくれる優等生である。
ただ一方で、ハムやソーセージのような加工肉っぽさがほんのりと漂っているのも事実。どこか人工的な、整った味がするのだ。
対する自作ローストビーフは、これはもう圧倒的なまでに「肉」である。
見た目や柔らかさのクオリティこそ市販品に劣るものの、牛肉そのものの旨みや存在感は間違いなくこちらの方が強い。自分は今、肉を摂取しているという強烈な実感がある。
市販品が優等生なら、自作版は野生児といったところか。思っていた以上に私のローストビーフはワイルドだったようだ。
