あいつは、俺の趣味を笑わなかった
ゲームの腕は俺より上で、それでいて俺のくだらない話を、いちばん大きな声で笑ってくれる。彼女みたいに、いつまでやってるのと呆れることもありません。仕事で削られた気力が、通話をつないだ途端に戻ってくる気がしていました。会ったことのない相手のはずなのに、現実で隣にいる人より、その子といるほうが俺には楽でした。否定されない居場所が、画面の中にだけあったのです。
「お前みたいに疲れないんだよ」と、俺は言った
会ったこともない相手に夢中になる理由を、彼女に聞かれたことがあります。俺は画面を指したまま、考えもせずに言いました。「お前みたいに疲れないんだよ」。
やきもちを焼く彼女のほうが面倒だと、そのときは本気で思っていました。相手の誕生日を覚えるのも、欲しがっていたものを贈るのも、友達なら当たり前だと信じて疑いません。彼女との約束を後回しにしている自覚すら、俺にはありませんでした。
