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「円は1970年より弱くなった」専門家が断言…サナエノミクスで国民生活はさらに苦しくなる

「円は1970年より弱くなった」専門家が断言…サナエノミクスで国民生活はさらに苦しくなる

「円の価値は、すでに1970年よりも低くなっている」そう警鐘を鳴らすのは、弁護士の明石順平氏だ。実質実効為替レートで見れば、現在の円は1ドル=360円だった固定相場時代をも下回る水準にあり、ユーロやスイスフランに対しても史上最安値を更新。高市早苗首相が掲げる「サナエノミクス」によって、その流れはさらに加速しかねないという。なぜ円はここまで弱くなったのか。そして、円安と物価高に苦しむ国民生活は今後どうなるのか。

『サナエノミクスによろしく』より一部を抜粋編集してお届けする。

もはや通貨危機と言っても過言ではない

拙著『アベノミクスによろしく』(インターナショナル新書)が刊行されたのは、2017年10月6日。そこから8年以上が経過した。現在、アベノミクスを継承・発展させた「サナエノミクス」を実行しようとしている高市早苗氏が総理大臣である。

8年前に私が書いたことの「答え合わせ」の時がきたと思う。『アベノミクスによろしく』第7章で、私は未来をこう予想した。

1 日銀が金融緩和をやめる、つまり国債の買い入れをやめると、国債が暴落する可能性がある。
2 国債が暴落すると、円と株も暴落する可能性がある。
3 国債が暴落すると長期金利が上昇し、国の借金返済が余計に困難になる。
4 上記1〜3の事態を避けるため、このまま金融緩和を続けたとしても、どこかで円の信用が失われ、円が暴落する可能性がある。

今は4の途中といったところである。日銀は国債買入額を減額したが、完全にやめたわけではなく、他国と比較すれば異常に低い金利を維持しており、緩和的状況は継続中である。

そして、通貨の真の実力を示す「実質実効為替レート指数」を見ると、すでに円の価値は1970年を下回っている。1ドル=360円の固定為替レートの時代よりも低いということである。

その上、ユーロやスイスフランに対して史上最安値を記録するなど、円はあらゆる通貨に対してその価値を下げている。

もはや通貨危機と言っても過言ではない。この危機をもたらしたのは、直接的にはアベノミクスの副作用である。アベノミクスとは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」を柱とする政策である。サナエノミクスはその延長線上にあり、この状況を間違いなく悪化させる。

なぜ、多くの専門家がサナエノミクスに警鐘を鳴らすのか。端的に言えば、アベノミクスによって下げられた円の価値を、さらに下げてしまうのがサナエノミクスである。物価は上昇し、国民生活はより苦しくなる。

総裁選勝利後から円安が急進

高市早苗氏が総裁選に勝利してから3カ月も経過しない間に、市場は劇的な反応を示した。まずはドル円レートから見てみよう(図1-1)。

高市氏が総裁選に勝利したのは2025年10月4日である。多くの専門家は、高市氏が総裁選に勝利すれば円安が進むであろうと予想していた。高市氏が積極財政を強調していたからである。そして、その予想どおり円安は急進した。

高市氏が総裁選に勝利する前日の10月3日時点は1ドル=147円台だったが、11月20日には157円台を記録した。2カ月も経ていない間に円がドルに対して約10円も安くなったのである。

ドル円レートは前年に160円台を超えたことがあったものの、そこからドルの価値は下がっている。ドルの強さを示す米ドル指数を見てみよう(図1-2)。

このように、ドル指数は2024年には100を上回る水準であったが、2025年は100を切るようなレベルになっている。世界的に見れば、2025年は「ドル安」の状況なのである。

したがって、2024年の1ドル=160円の時よりも、実質的に見れば2025年11月時点の1ドル=157円のほうが円の価値は下がっている。

為替市場において、ドルに次いで取引の多いユーロとの為替相場を見てみよう(図1-3)。

このように、総裁選勝利を機にユーロ円相場は急上昇して史上最高値の更新を繰り返し、12月22日には1ユーロ=184・92円を記録した。「安全資産」として名高いスイスフランも、全く同じ傾向を示した(図1-4)。

見てのとおり、総裁選勝利を機に急上昇して史上最高値の更新を続け、1スイスフラン=200円に届きそうなところに至った。

次に、上記3通貨に加え、カナダ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランドの通貨も含んだ過去3カ月間の通貨の強弱チャート(OANDA証券作成)も見てみよう(図1-5)。

1本だけ急落している線が円である。このように、高市氏の総裁選勝利後わずかな期間の間に、円は急落し、「1人負け」の状態になった。

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