金利の急上昇
金利の代表的指標である長期金利は以前から上昇傾向にあったが、その勢いを増し、節目である2%を超えた(図1-6)。長期金利が2%を超えるのは、26年前の1999年2月25日以来である。
金利が上昇した場合、普通は円高になるが、高市氏の総裁選勝利後は、円安と金利上昇が同時に起きるという異常現象が発生した。これが「サナエノミクス」に対して市場が発した警告である。
文/明石順平
サナエノミクスによろしく
明石 順平
2026/6/51,089円(税込)240ページISBN:978-4797681734株価が史上最高値を記録しているのに、なぜ国民生活は苦しいのか。偽りの好景気「サナエノミクス」の正体を、公的データをもとに解説する。
「サナエノミクス」とは、高市早苗総理が提唱する経済政策の通称で、安倍晋三・元総理の「アベノミクス」を継承・発展させるものと喧伝されている。アベノミクスは3本の矢、1.大胆な金融政策、2.機動的な財政政策、3.民間投資を喚起する成長戦略からなっていたが、サナエノミクスはこのうち2を強調するものであり、「責任ある積極財政」とも呼ばれている。この経済政策を推進していけば、アベノミクスによって下げられた円の価値はさらに下がり、物価は上昇し、国民生活はより苦しくなっていく。
事実、アベノミクス開始後、円安により株価が上昇する一方で、物価の伸びに賃金が全く追いつかず、国民はどんどん貧しくなっていった。
実質賃金はアベノミクス開始前より低い水準のままである。これを継承するサナエノミクスは、史上最悪のエネルギーショックに襲われている日本の状況を、さらに悪化させるであろう。
ドルベースで見ると、2026年5月現在の名目GDPはアベノミクス開始前の3分の2にすら満たない。これが世界における日本の位置であり、真の姿である。100以上のグラフや公的データを用いて、アベノミクスとは何か、それを継承すると喧伝するサナエノミクスが日本に何をもたらすかを明らかにする。

