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SC軽井沢クラブが挑む「子どもの体験格差」。大切にするのは「価値観を押し付けない」

SC軽井沢クラブが挑む「子どもの体験格差」。大切にするのは「価値観を押し付けない」

アスリートと触れあった子どもに大きな変化が

アスリートとともにスポーツに触れあった経験は、子どもが将来へ一歩踏み出す際の力強い後押しとなるだろう

“軽井沢こども未来基金”の目的には、子どもの“心と身体を健やかにし「生きる力」を育成すること”とある。具体的にスポーツのどのような側面が、子どもの心身の健康に役立つと考えているのだろうか。

「スポーツには、技術を磨いてトップを目指すという側面もあれば、レクリエーション的な効用もあると思います。SC軽井沢クラブには両方ありますが、時代的に求められているのは後者でしょう。今の子どもたちは大人に管理されていて、自由に遊ぶ時間というのがほとんどありません。すると周囲とのコミュニケーションの仕方を学ぶ機会がなく、ストレスは溜まるし、心理的な成長も望めません。しかし、日常的にスポーツに触れることができれば、体力も付くし、対人関係もだんだんうまくなっていくと思います。毎日通っている学校のクラスメイト以外の子どもたちや大人と出会うことにより、違うコミュニティ、第三の居場所ができるのです。スポーツで得た経験や場所は、子どもが将来生きていく上で、大きなお守りになるのではないでしょうか」

真山氏がバスで送迎していた子どもたちの中には、心に傷を負っているのではと、傍目にも気になってしまう子がいた。普段、バスを乗り降りするときに一切声をかけてこなかったその子が、“軽井沢スポーツ祭”でアスリートたちとふれ合った後、急に挨拶をしてくれるようになったのだという。

「一人ひとりの子どもたちとふれ合ってくれた、アスリートのエネルギーのすごさを感じた瞬間でしたね。アスリートの方々は、軽井沢に来るとまず児童養護施設を訪問するのですが、そこで『子どもたちがどんどん変わっていくのを目の当たりにして、エネルギーをもらった』という声もありました。普段はあまり一緒になることのない、違う種目のアスリートと交われるのも面白い機会だとも言っていただいています。一方的に与えるのではなく、このようにお互いに与え合うような関係が根付いていくと良いなと思います」

子どもに大人の価値観を押しつけない

大人の価値観を押しつけず、子どもの目線で共にスポーツを楽しむ

“軽井沢こども未来基金”が立ち上がって間もなく4年になる。学校には行きたくないけれども、ここには来たいという子どもも少なくないという。自分の居場所があるということ、皆と一緒に身体を動かすのは楽しいと感じられること。それらが子どもたちに力を与えている。

「私たちは指導者ではありますが、自らの価値観を押しつけることだけは絶対にするまいと思っています。そもそも教育が、私たちが子どもの頃と今では全く違っています。何が面白いか何が面白くないかという価値観も異なります。ですから私たちは、むしろ子どもたちに教えてもらうつもりで、どんなことをすればみんなが楽しめるのかを彼らとキャッチボールしながら作っていくようにしています」

児童養護施設の子どもたちのためを思って始めたバスの送迎も、最初は予想外の拒絶を受けた。良かれと考えたことが、必ずしも相手のためにならないことは少なくない。

「私自身、色眼鏡をかけて子どもたちを見ているところはありました。“かわいそうな子どもたち”として見る目が、彼らを傷つけてしまう。可哀想かどうかを、大人が勝手に決めるべきではありません。また、児童福祉施設にいる子に限らず、地域の子どもたちすべてに向けて支援を行うと、お母さんにとっては夕方の家事の時間に余裕を持つことにもつながります。それがひいては地域全体の余裕にもつながり、コミュニティとしての結びつきの強化を得られたのではないかと思っています」

2021年の国民生活基礎調査に基づく、相対的に貧困の状態にある子どもの割合は11.5%、特にひとり親世帯の貧困率は44.5%と高い。子どもの貧富の格差は、将来の日本の格差でもある。その分断の溝を埋め、人々に余裕を与え温かなコミュニティを作っていくためにスポーツの果たす力は大きい。SC軽井沢クラブの取り組みは、そうした課題解決のヒントになるのではないだろうか。

text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
写真提供:軽井沢こども未来基金

配信元: パラサポWEB

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