消えていく一軒
彼と付き合って二年目になります。出かける予定を決めるとき、彼はいつもお店の候補を何軒か送ってくれる人でした。並べてくれた中から選ぶのが、私のささやかな楽しみでもあったのです。
ところがある時から、送られてきた候補のうち一軒が、決まって取り消されるようになりました。どんなお店だったのかは、私には見えません。一度や二度なら気にもしませんでした。けれど予定を立てるたびに同じことが起きるとなると、話は別でした。
膨らんでいく想像
取り消されるのは、いつも決まって一軒だけ。私に見せたくないお店がある、ということなのでしょうか。そう考え始めると、想像はどんどん広がっていきました。
誰かと行ったお店なのかもしれない。私には言えない場所なのかもしれない。考えれば考えるほど、よくない方向にばかり気持ちが向かいます。チャットを開くたびに、あの取り消しの跡を探している自分がいました。彼の前では普段どおりに笑っていても、ひとりになると画面を見返しては、消えた一軒の正体を思いめぐらせていたのです。
