思い切って尋ねた日
このまま黙っていても、もやもやは消えそうにありませんでした。出かけた帰り道、私は思い切って彼に聞いてみることにしたのです。「ねえ、いつも一軒だけお店消してるよね。何かあるの?」
彼は少し、言葉を探すような表情になりました。それから、ばつが悪そうに目線を落として、こう言ったのです。「ごめん、もう少しだけ待ってほしい。悪いことじゃないから」。はぐらかされた、というのとは違いました。隠しごとを見つかった人の慌て方とも、どこか違います。少なくとも、私が想像していたような後ろめたさは、その顔には見当たりませんでした。
そして...
結局、消えていたお店が何だったのかは、その日もわからずじまいでした。それでも、帰り道に見せた彼のあの慌てた顔を思い返すと、こわばっていた気持ちが少しずつほどけていったのです。
よくない想像ばかりを膨らませていたのは、私のほうだったのかもしれません。「悪いことじゃないから」。その言葉を信じて、もう少しだけ待ってみようと思いました。彼が何を考えているのかは、今はまだわかりません。けれど、わざわざ消してまで取っておきたい一軒があるのなら、それはきっと、雑に扱いたくない何かなのでしょう。そう思えたら、次に届く候補を、また楽しみに待てる気がしたのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
