守ったのは、彼女ではなかった
同級生が去ったあと、彼女はいつものように笑ってくれませんでした。当然です。僕はあの瞬間、彼女の立場よりも、自分のちっぽけな見栄を優先したのですから。守るべきだったのは隣にいる人なのに、僕が守ったのは過去の引け目だけでした。歩きながら、自分の情けなさばかりが積み重なっていきます。このまま黙っているわけにはいきません。駅が近づいた頃、僕はようやく足を止めて、彼女のほうへ向き直りました。
そして...
「ごめん。あのとき、ちゃんと紹介できなくて」。そう切り出してから、僕は「あいつには、昔からずっと敵わなくて」と打ち明けました。情けない理由だと、自分でもわかっています。それでも、彼女を下に見たわけではないことだけは、どうしても伝えたかったのです。彼女は少し考えてから、次は隣で名前を呼んでほしいと言ってくれました。その言葉に、僕は深くうなずきました。
次に誰かと会ったら、ためらわずに恋人だと言える自分でいたい。彼女の隣に立つというのは、そういうことなのだと、ようやくわかった気がします。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
