読者の方は身につまされたのではないか。タモリや笑福亭鶴瓶のものまねで人気のコージー冨田が“失明”の危機――というニュースだ。若い頃からの糖尿病が悪化し、7年ほど前から失明に近い状態なのだという。おまけに週3回の人工透析に通う日々。そんな状況にありながら、月1回の定期ライブは欠かさないという。その近況に迫った!
「敢えて言わなかっただけ」テレビでは見せなかった真実
――完全失明との情報もありますが、現在の見え方はどんな感じなのでしょう?
冨田 正確に言うと、盲目ではなく弱視のような状態です。スーパーの白いレジ袋を思い出してください。あれ、中に入ってる物の色くらいはぼんやり分かりますよね? それを頭から被って薄っすら透けている世界を見ている感じです。なので、白い器に白い物が入っているとまったく認識できません。白茶碗の中の白ご飯がいちばん困る(笑)。
――“失明”の原因は糖尿病なんですね。
冨田 実は、26歳ごろから喉が渇いて仕方なかったんです。変だなと思い病院に行ったら糖尿病と診断されました。血糖値は260くらい(当時の体重は最大で113㌔)。お医者さんには「立派な糖尿病です」と。あれこれ注意事項を聞かされたのですが、薬も飲んだり飲まなかったりで何も対策をしてこなかった。自覚症状がなかったからなんです。喉が渇く以外は痛くもかゆくもなかった。恐ろしい病気と知りながら、目を背けていた感じですね。
――放っておいたら悪化するだけですね。
冨田 おまけに、それまでまったく飲めなかったお酒を覚えたんです。喉が渇いてるからビールがおいしくて、酔っぱらう感覚が楽しくなっちゃった。文字通り、浴びるほど飲んでましたね。
――破滅型芸人の典型じゃないですか?
冨田 そんなイイものじゃない。ただただビビッてるだけで、現実逃避をしていたんです。
――で、見えなくなった?
冨田 糖尿病は「しめじ」の順番で悪くなっていくんです。しは神経、めは目、じは腎臓。本当に、その順番通りに悪くなっていきました。10年ほど前、ホットカーペットの上で裸足で寝ていたら低温やけどをしていました。神経がやられているから、まったく気がつかなかったんですね。診察を受けた皮膚科では、「今すぐ患部を削らないと壊死が広がり足を切断することになります」って。その場でシュラスコみたいに削られました(笑)。その頃から(糖尿病を)放置するのを諦めてインスリンを打ち始めるのですが、病魔は視界を奪っていきました。2番目の「目」です。
――そんなにも前から失明状態だったとは驚きです。
冨田 敢えて言わなかっただけで、隠してきたわけではありません。テレビに出るときなどは、板付き(登場シーンで最初からマイクの前に立つこと)だったりして、視聴者の方には分からなかったかもしれないですね。
【関連】劇場版『旅人検視官 道場修作』主演の内藤剛志が明かす“芸能界の掟”「舘ひろしさんに頼まれたら断れない」
「天海祐希さんだと思ったら…」耳が教えてくれる新しい世界
冨田 2つある腎臓のうち、1つはダメになりました。残った1つを大事にしなくちゃと薬も飲みましたが、どんどん悪くなっていくばかり。何がつらいって、身体が寒いんです。暑い日でも寒い。吐き気が常にあり、食べ物も喉を通らなくなりました。先生がついに「これは人工透析ですね」と仰られて2019年から始めました。コロナ禍の前です。
今回の取材会場は、その日、冨田プロデュースのライブが行われる東京・渋谷区のイベントスペースだった。リハーサルに現れた冨田は、後輩芸人の肩に手を置きながらステージ中央に導かれマイクの前に立つ。そこから音出しのタイミングや照明の位置などの指示を出し、撮影用に軽くネタを披露してくれた。勝手知ったる会場とはいえ、介助の後輩芸人がいなければ往時の冨田と何ら変わらない姿がそこにあった。
――目が見えなくなって、特に不便なことは何でしょう?
冨田 1人で出掛けられないことですね。ちょっとコンビニに行きたくても、怖くて行けないです。スクランブル交差点なんか絶対に無理。完全に見えないわけではないので白杖はまだ抵抗があるため、誰かの肩を借りて歩いてます。
――新しいタレントや役者さんの顔は分からないわけですよね?
冨田 はい。’19年ごろからテレビに出るようになった役者さんの顔はイメージできません。NHKの朝ドラが好きなのですが、みんなが「かわいい」と言う浜辺美波さんとか黒島結菜さんのお顔、見てみたいですね。かと思えば、あるドラマで天海祐希さんが出ているんだと思って知り合いに話したら、それは若村麻由美さんだよと(朝ドラ『おちょやん』)。ということは、2人の声は似ているということなんです。天海さんのものまねができる人は若村さんもできるなと、職業柄、思ったりしています。声で言えば、フジテレビの『ボクらの時代』(’26年3月で終了)という番組は小林聡美さんのナレーションが入るまで、その日のゲストの名前を紹介しないんですよ。テロップは流れているらしいのですが、ボクは3人のゲストを声だけで当てるゲームを密かな楽しみにしていました。
――見えないことで声の特徴に対して敏感になっている部分はありますか?
冨田 注意深く聞くようにはなりましたね。例えば館内放送ってあるじゃないですか。あれ、今までは聞き流すというか集中はしてこなかった。でも今は、もしかして自分に関係あるんじゃないかと聞き耳を立てるようになりました。役者さんで言えば、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(’25年、TBS系)の竹内涼真さん。彼のセリフ回しが特徴的で、二言目が必ずウィスパーボイスになるんです。微妙な変化なので、見えていたら果たしてそこに気づいていたかどうか…。
