【私たちの人生に直結する言葉の数々】
真理は『近づいてみれば、誰もまともな者はいない』というタイトルで、清宮主演のひとり舞台を上演していました。イタリアで精神病院がどうやって廃絶していったのかを描いた物語で、上演後、観客とのQ&Aで真理は「私は進行性がんで余命半年です。でも精神病院をなくせるという固定概念を打ち破った実話に勇気をもらった」と語ります。その言葉が凹んでいたマリー=ルーの心に響くのです。
その後、親しくなったふたりはたくさん対話を重ねていくのですが、介護や病気のことだけでなく、世の中の仕組み、資本主義社会についてなど多くのテーマがあり、それをとてもわかりやすく噛み砕いて語ってくれるのがありがたかったです。
難しいことじゃない。自分たちの生活や人生に直結する問題だから、私は彼女たちの会話にめり込んでしまいました。
【日本とフランスの国境を超えた】
マリー=ルーと真理の会話はフランス語だったり日本語だったり、そのときによって違うのですが、言語がコロコロ変わることはまったく気になりません。
フランス語のときはもちろん字幕ですが、とてもスムーズにすんなり心に飛び込んできます。これはヴィルジニーさんと岡本さんのお芝居の力、濱口監督の演出と脚本の力でしょう。
フランス人と日本人ではなく、今を生きる人間として、より良く生きるためにどうすべきかと、語り合っている気がしました。だからスッと心に飛び込んできたのかもしれません。

