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現役サッカー選手が10年通う理由。18歳で社会に出る子どもに渡す「お守り」

現役サッカー選手が10年通う理由。18歳で社会に出る子どもに渡す「お守り」

昨今、スポーツは単なるエンターテイメントではなく、社会を変える力があると言われるようになった。それを身をもって実感している現役サッカー選手たちがいる。児童養護施設の子どもたちの支援をチームメイトと2人で始めて10年。現在では仲間も増え、さまざまな活動を続けている、COEDO KAWAGOE F.C所属の小池純輝選手に、スポーツとアスリートのもつ価値についてお話を伺った。

きっかけは声援と笑顔。子どもたちの圧倒的な熱量に心が動いた

2019年に神奈川県川崎市の児童養護施設から感謝状を贈呈された小池純輝選手(左)と、梶川諒太選手(右)

2025年7月、小池純輝選手は神奈川県にある児童養護施設を訪れ、年齢や性別を問わず、多くの子どもたちと、サッカーのミニゲームを楽しみ交流を深めた。小池選手が初めて児童養護施設を訪れたのは2014年のこと。それから10年以上、自身が所属するチームの近隣にある児童養護施設の訪問を続けている。

きっかけは、知人からの「ちょっと顔を出してほしい」という相談だった。そこで当時東京ヴェルディでチームメイトだった梶川諒太選手(現:藤枝MYFC所属)を誘って、鎌倉にある児童養護施設を訪れたところ、想像以上のもてなしを受けたという。

「小さな体育館のようなところに『ようこそ小池選手・梶川選手』と書かれた横断幕と装飾があって、そこに全員が集合して『わーっ』と歓声をあげて迎えてくれました。その日はみんなでサッカーをしたんですが、とても喜んでもらえて嬉しかったですね。その後、今度は施設のみんなが横浜市で開催された試合に観戦に来てくれました。僕はポジションがサイドなので、スタンドにいる子どもたちの『小池選手、がんばれ!』という声援がピッチまで聞こえて、それがまたすごく嬉しかったんです」

と、小池選手は笑顔で当時を振り返る。その後、シーズンオフの12月に小池選手と梶川選手は自主的に施設を再訪した。

「前回の訪問で主に交流したのが幼稚園から小学2年生ぐらいまでの小さい子どもたちだったので、時間が経って忘れられていないかな、という不安もありましたが、前回同様の熱量で迎えてくれました。その時に、子どもたちのためにサッカーを通して継続的に何かできることはないか? と思うようになりました」

そして、梶川選手とともに一般社団法人F-connectを設立した。名前は「Footballで繋げる、Footballが繋げる」という団体のコンセプトに由来する。

18歳で自立しなければならない子どもたちのために

F-connectの活動の一環、「エフコネファーム」でとうもろこしを収穫する小池純輝選手(左)と、梶川諒太選手(右)

F-connectは児童養護施設を訪問して一緒にサッカーをして交流をはかる他、試合への招待、サッカーシューズの寄贈などといった活動をしている。さらに毎年年末には、横浜市の高校の協力のもとサッカーイベントを開催。高校のグラウンドに施設の子どもたちを招待して行うサッカー教室は、12月の恒例イベントとして親しまれている。

また、2021年度からは「プロサッカー選手がつくる畑で児童養護施設の子どもたちと泥んこになりたい」をテーマに長野県飯綱町にて「エフコネファーム」をスタート。長野県の農家に子どもたちを招待し、一緒に野菜や果物を収穫。協力してくれる農家の方や近隣の方々も交えて、みんなでバーベキューをして収穫した野菜などを食べるそうだ。

自分たちで収穫した野菜でバーベキューを楽しむ子どもたち

「基本的に児童養護施設の子どもたちは、なんらかの事情で親元を離れて暮らしています。そんな中、サッカーを通じて触れあうことで、彼らが夢や目標を持ってみようと思えるようなきっかけを作ることができたらいいなと思っています。『エフコネファーム』も、施設から出て、農作物を収穫したり、普段は触れあう機会のないような方々と交流したりすることが、子どもたちが成長していく上での“栄養”の一部になってくれたらいいと思うんです」

児童養護施設で暮らす子どもたちは、以前は18歳、最長でも22歳までに自立して退所しなければならなかった。その後、2024年の児童福祉法改正により年齢制限は撤廃され、自立が可能かどうかで判断されることになったものの、現状はさまざまな事情から、いまだに多くの子どもたちが18歳で施設を出なければならないという。

「僕たちは、18歳で施設を出なくてはならない子どもたちに仕事を斡旋するとか、大きなことはできませんが、さまざまな体験や人との交流を通して彼らの中に何か新しい考えや価値観が生まれてくれたら嬉しいです。僕もそうですが、人は経験や体験の積み重ねによって育ち、そうした過去の積み重ねが熟成され、自分の考え方や行動になって表れるんじゃないでしょうか。子どもたちにとって、F-connectでの体験が、そうしたものの一つになってくれたらいいですし、大人になって社会に出たときに、あんな人いたなとか、こんなことしてくれたなと思い出して、その記憶が何かをするきっかけやモチベーションになってくれたらいいですね」

配信元: パラサポWEB

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