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現役サッカー選手が10年通う理由。18歳で社会に出る子どもに渡す「お守り」

現役サッカー選手が10年通う理由。18歳で社会に出る子どもに渡す「お守り」

最大の喜びは子どもたちの変化。高校生、社会人になってからの再会も

児童養護施設を訪れ、子どもたちとサッカーを楽しむ小池選手

小池選手がこの活動を続けるモチベーションのひとつは、やはり子どもたちの笑顔、喜ぶ姿だという。

「10年の活動の中で、嬉しかったことはたくさんあります。たとえばある施設を訪問した際、みんなでサッカーを始めたんです。最初はサッカーが好きで積極的な子どもたちが率先してボールを蹴ってくれましたが、そのうちに周りで見ていた子どもたちも、1人、2人と参加してくれて、最後は1つしかないボールをみんなで追いかけるといった状況になりました。それ自体も嬉しかったんですが、帰り際に職員の方が『普段だったら誰かがサッカーをやっていても絶対に参加しない男の子が、一緒になってボールを追いかけていたので驚きました』とおっしゃったんです」

その男の子は、普段はみんなと一緒に遊ぶことはなかったそうだが、プロのサッカー選手のプレーを目の当たりにして、何かを刺激されたのかもしれない。

「他にも、12月の恒例イベントの初回に参加してくれた女の子がいました。参加当時、彼女は幼稚園の年長さんか小学1年生だったんですが、その子が女子高生になって、またそのイベントに来てくれたんです。途中で会う機会はありましたが、イベントに参加したのは随分前ですし、多感な年齢なのにわざわざ来てくれた。それは、彼女の中でこのイベントが印象に残っていたからかなと思うと、やってきてよかったなと思いましたね」

このように、F-connectの活動は、一歩前に足を踏み出したり、行動変容をもたらしたりするきっかけになっているようだ。

「以前『エフコネファーム』に定期的に参加してくれていた高校生が昨年、社会人になったんですが、就職を考えるときにF-connectで働きたい、農業をやりたいと言ってくれました。残念ながら、F-connectの環境を含め、準備を整えられなかったので実現はできませんでしたが、自分たちがやってきたことが実際に子どもたちの夢や目標になったのは嬉しかったですね」

現役選手だからこそ、たくさんの人に影響を与えられる

F-connect活動報告会に参加したメンバーの皆さん。左から野村直輝選手(レノファ山口FC)、新井純平さん、小池純輝選手、三鬼海選手(SC相模原)、山崎浩介選手(ジュビロ磐田)、梶川諒太選手。この他、総勢13名のメンバーが所属している

10年の活動の中で、小池選手の考えに共感したさまざまな人や企業が賛助会員としてF-connectに協力。そして複数のサッカー選手たちがF-connectに参加して一緒に活動をしている。小池選手が現役のプロサッカー選手でありながら、時間や労力を割いてこうした活動を続けているのは、なぜなのだろうか。

「試合に出てない時や、チームが勝てない時には『そんなことやってないで練習しろよ』といった声がSNSに届くこともありましたが、そういう会ったこともない人たちの声よりも、私自身が実際に目にしている子どもたちの姿や笑顔、そして自分がどうしたいかが大事なんじゃないでしょうか。

子どもたちの支援は引退してからでもできますが、現役時代というのは、ある意味その価値が最大化されている状況で、たくさんの人に影響を与えられる可能性があると思うんです。たとえば、先程お話ししたような、普段はみんなと一緒にサッカーをしない子が自然に参加してくれたとか、特に子どもの場合は、触れあうことでいろんなことを感じてもらえるような気がしています」

そうした子どもたちの反応や変化によって、小池選手自身がスポーツの価値やアスリートの価値に気づくことが多いという。そして、その気づきが人としての厚みになり、サッカー選手としてのパワーに繋がっているのだそうだ。

小池選手は、この10年の間に何度か所属チームが変わっている。選手としての環境や生活も大きく変わる中、それでもF-connectの活動を続けてきたその根本には、子どもたちの喜ぶ姿、笑顔を見たいという気持ちがあるという。「子どもたちを招待したら絶対に試合に出たいじゃないですか。それが僕自身のモチベーションにもなっているんです」と語る小池氏のプレーには、これまで出会ってきた子どもたちのたくさんの夢や希望、思いが乗っているような気がした。

PROFILE 小池純輝
COEDO KAWAGOE F.C所属の現役サッカー選手。一般社団法人F-connect代表理事、一般社団法人日本プロサッカー選手会元理事、一般社団法人日本CPサッカー協会元理事。
高校を卒業後、坂戸ディプロマッツから浦和レッズのユースを経て、2006年にトップチームに昇格。その後、ザスパ草津、水戸ホーリーホック、東京ヴェルディなどを経て、2026年よりCOEDO KAWAGOE F.Cに所属。

F-connect:https://f-connect.org/

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真提供:一般社団法人F-connect

配信元: パラサポWEB

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