聞きたいのに、聞けないまま
本当はすぐに聞けばよかったのだと思います。けれど、お金のことを問いただすようで、どうしても切り出せませんでした。がめついと思われたくない。その一心で、私はいつも通りのやりとりを続けました。
彼からのメッセージは、相変わらず普通でした。旅行先で食べたいものの話や、持ち物の話。その何気なさが、かえって私の中の不安を大きくしていきます。私だけが一人で勝手に悩んでいるのではないか。そう思うと、楽しみだったはずの旅行が、少しずつ重たく感じられていきました。
そして...
数日が過ぎ、二人で会ったとき、私は思いきって切り出しました。
「予算表の私の分だけ『相談』ってあったでしょ。あれ、ずっと気になってて」
彼は少し驚いた顔をして、それから言いました。
「ああ、あれか。君の分だけは、勝手に決めたくなかったんだ」
「僕の分はどこでもいい。けど君がやりたいことは、ちゃんと話してから決めたかった」
私は、自分がずっと別の意味に受け取っていたことに気づきました。「削るための『相談』だと思ってた」と打ち明けると、彼は「逆だよ。君の分は、少しいいところにしたかった」と笑いました。
一人で重ねていた不安が、ほどけていくようでした。気になったことは溜め込まずに聞こう。そう思えたことが、この旅行で一番の収穫だったのかもしれません。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
