受診控えが生むリスク――「アイフレイル」の現在地
近年、眼科領域では「アイフレイル」という考え方が広がっている。これは加齢に伴う視機能の低下を早期に発見し、必要な対応につなげる取り組みである。
日本眼科医会によると、アイフレイルは加齢に伴う目の機能低下の初期段階を指し、放置することで視機能障害へ進行する可能性があるとされている。また、緑内障や加齢黄斑変性などは初期段階で自覚症状に乏しいケースも多く、日本眼科医会や日本眼科学会は定期的な眼科検診の重要性を呼びかけている。
熊谷氏も「視力低下や緑内障の疑いを指摘されても受診を後回しにする人は少なくない」と話す。
眼疾患の中には進行してから症状に気付くものもあり、早期発見によって治療の選択肢が広がるケースもあるとされる。
一方で、啓発活動だけで受診率が向上するわけではない。高齢者の通院負担や医療機関へのアクセスなど、地域医療が抱える構造的課題も存在する。
地域眼科は「相談窓口」になれるか
熊谷氏は診療で重視していることについて、「患者との対話である」と話す。
検査結果だけではなく、患者が何に不安を感じているのかを把握し、現在の状態や今後の見通しをできるだけ分かりやすく説明することを心掛けているという。特に眼科では、手術を勧められた患者や慢性疾患と向き合う患者が不安を抱える場面も少なくない。そのため同院では、治療を受けるかどうか迷っている患者に対しても相談の機会を設けている。
ただし、高齢化による患者数の増加が続くなか、一人ひとりに十分な説明時間を確保し続けられるかは地域医療全体の課題でもある。患者との対話を重視する医療が地域に根付くかどうかは、人材確保や診療体制の整備も含めて今後の論点となりそうだ。

【取材協力】
梅の木眼科クリニック
院長 熊谷悠太氏
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