発売間隔や販売形態に「ユーザー困惑」のケースも
完全版の評価を大きく左右する要素として、発売時期やその形態も影響を与えています。例えば、ひと世代前のハードで発売された作品が、現行機向けに追加要素付きで再登場する場合は、比較的受け入れられやすい傾向があります。
かつて遊んだ思い出の作品が、現行機で快適に遊べるという利点は、やはり大きなものです。そして追加要素も加わるなら、無印版の魅力を損なわない限り、その喜びもいっそう大きなものになるでしょう。
もちろん、完全版の展開自体に賛否はありますが、世代をまたいだ完全版のリリースは、大きな批判には発展しにくく、全体として見れば歓迎されるケースが多い傾向にあります。
一方で、同じ世代のゲームハード向けに完全版が発売される場合は、ユーザーの困惑を招きやすくなります。
すでに購入したゲームと重複する部分が多い内容の作品を、同一ハードで再び買わなければならないとなると、当然、一部に不満の声があがってきます。追加要素の魅力が大きかったとしても、「最初から入れておいてほしかった」「また買い直さなければならないのか」と感じるユーザーがいても、不思議ではありません。
「有償アップグレード」という解決策はあるが…?
そのような不満を和らげる方法として、近年では「有償アップグレード」が注目を集めています。
完全版のみを新たに販売するのではなく、既存ユーザー向けの追加要素を有償のアップグレードで提供する方法です。無印版を持っている人は比較的安価なアップグレード料金だけで済み、新規ユーザーは完全版か無印版かを選択できるという形です。
アップグレード方式であれば、既存ユーザーはゲームソフトを丸ごと買い直す必要がなくなるため、納得感が高まります。興味がある人はアップグレードを購入し、興味がなければ見送るだけです。この関係は、最初に挙げた「通常版と限定版」にも通じるものがあります。
ユーザーにとっては意見の分かれる話ですが、すべての作品が理想的な形で展開されるわけではありません。
有償アップグレードへの対応には、追加の開発コストが発生します。メーカー側には相応の体力が求められますし、ソフトの売れ行き状況によって、実施が難しくなるケースもあるでしょう。
アップグレードに対応したことで、利益が目標値に届かず赤字になれば、メーカーの今後の活動にも影響を与えかねません。完全版のみを販売するケースには、メーカー側の苦渋の判断が含まれている可能性もあります。
近年では、リマスター版に新要素を加えて既存ファンと新規ユーザーの両方を取り込む手法も増えています。また、Nintendo Switch 2では、Nintendo Switchで発売済のゲームを、描画やロード時間を改善したうえで発売する「Switch 2 Edition」の展開も活発です。
追加要素によって好きな作品の魅力がさらに広がること自体は、多くのユーザーにとって歓迎したい展開でしょう。
だからこそ重要なのは、「何を追加するか」だけでなく、「どのような形で提供するか」です。完全版が歓迎されるか、それとも批判されるか。その分かれ道は、追加要素の内容に加え、ユーザーとの向き合い方も重要です。メーカー各社は、今後も試行錯誤を重ねながら、より納得感のある提供方法を模索していくことでしょう。
