
【あえての“不便”が今に刺さる】スマホ時代にチェキが大躍進!ミドル&シニア層もハマる「体験と所有」が生む唯一無二の価値とは?の画像一覧
「写真はスマホで撮ってSNSで共有する」のが当たり前になった今、現像されるまで結果がわからないインスタントカメラ「チェキ」の人気が止まりません。若い女性を中心に流行っているイメージが強いかもしれませんが、実は大人の男性やシニア層にもファンが急増中。さらに驚くべきことに、売上の大半は日本ではなく“海外”だというのです。デジタルの時代に、なぜチェキは世界中の人々を魅了し続けるのか? 富士フイルム株式会社の担当者に、そのヒットの裏側を聞いてきました。
スマホ全盛期になぜ? どん底から「チェキ」を救った世界的ヒットの理由

富士フイルム株式会社 イメージングソリューション事業部 コンシューマーイメージンググループ 統括マネージャーの高井隆一郎さん
チェキは1998年に「instax mini 10」として初めて登場しました。発売から徐々に売上を伸ばし、2002年には年間販売台数が100万台を突破しました。しかし、デジカメやカメラ付き携帯電話の普及に伴い、チェキの「撮影してすぐ写真が見ることができる」価値がデジタルに取って変わられてしまったことで、販売数はいきなり年間10万台まで落ち込みます。
「低調ではあったのですが、それでもチェキはウェディングやイベントなどで安定的な需要がありました。さらに2007年に韓国ドラマのワンシーンにチェキが登場したことをきっかけに若者が再びチェキに興味を持つようになったのです。その後、2012年に発売した『instax mini 8』がさらに人気を加速しました。カメラ自体のビジュアルがパステル調のカラーでポップだったこと、チェキにしか出せない写真の風合いが若い人たちに非常に受け入れられ、2015年頃からは世界でも売り上げが伸びていきました」(高井さん)
現在販売されているチェキは16種類。こんなにも多くの種類を販売するのは何故でしょうか。
「16種類のチェキはそれぞれ機能やデザインが異なり、ターゲットユーザーが全然違います。出てくる写真のサイズもミニ・スクエア・ワイドと異なるのですが、例えば、チェキを持ち歩いて友達と気軽に撮りたい人はミニ、写真の構図にこだわりがあって余白を意識したい人はスクエア、従来の写真の延長線上でプロカメラのサブ的な使い方をする方はワイドと用途によって購入される方が全く異なります」(高井さん)

カメラ自体のビジュアルやプリントされる写真のサイズが異なる
写真のサイズだけでなく、「すぐに写真が出てきて、その場で写真を見て盛り上がる」ことに良さを感じる方にはアナログ、「効率的に撮りたい」人は撮った後に画面で確認してからプリントできるハイブリッドなど、カメラとしての機能にもこだわりに違いがあるといいます。さらに「撮影はスマホでしたい」方向けにはスマホプリンターもあります。
あえての“不便”が刺さる! 若者を熱狂させる「体験と所有」の価値
16種類も機種があるチェキが様々なニーズに応えていることはわかりましたが、なぜデジタルの時代にチェキがここまで人気なのでしょうか。高井さんは「体験と所有」がキーワードだと話します。まずは“体験”について。
「スマホで写真を撮影すれば、早く撮れるし画質もすごく綺麗で効率的です。でも簡単だからこそ“体験価値”は少ないですよね。スマホは電話やSNSの操作の延長ですぐに撮影できると思いますが、チェキはわざわざカメラを持ち歩いて構えて『今から撮影をするんだ』という気持ちの切り替えと体験要素がある。デジタルの時代でも若者は効率だけを重視するわけではなく、体験を欲している……そのニーズに刺さったのだと思いますね」(高井さん)
そして“所有”とは?
「まずはデバイスを持っている“所有欲”。チェキ本体のデザインをものすごく大切にしている理由の一つでもあります。そしてチェキがスマホカメラと大きく異なるのは、写真が現物としてプリントされること。写真がデジタルのデータではなく作品のようなモノとして“所有”できることで、データを送信するよりも贈り物としての価値が高まります。直接文字やイラストを描き込めばさらに特別感が増します」(高井さん)
これらの体験価値と所有感があることが、スマホの写真データとは一線を画す「唯一無二の価値」になっていると高井さんは分析します。スマホと違い、チェキフィルムが10枚で1パックと撮影できる枚数に制限があるからこそ、ユーザーは1枚1枚を大切に撮影します。10枚しかないうちの1枚を相手にあげるってかなり特別ですし、撮影も慎重に臨みますよね。
“所有”の価値を広げた背景には自分が撮影したものだけでなく、好きなキャラクターをチェキでプリントして持ち歩く「キャラチェキ」もあるのだそう!推しのチェキを持ち歩く人も増えています。

キャラチェキ
「好きなキャラや推しを持ち歩きたい方はすごく多いです。スマホにデータとしてあるのではなく“触れる”ことが重要で愛おしいんですよね。チェキを入れることができるキーホルダーもあり、こうした新たな楽しみ方もチェキを広げた理由の一つだと思います」(高井さん)
