「地下アイドルのチェキ会」が人気の理由ではない!? 驚愕の“海外売上9割”
デジタルの時代だからこそ、“体験”と“所有”に価値を感じる若者から人気のチェキ。スマホの登場で一時低迷した売上は、2012年の「instax mini 8」発売以降、急上昇し、2024年度には累計販売台数が1億台を突破しました。
売上が急上昇した時期と「地下アイドルのチェキ会」の文化が増えていった時期が重なっているのではと筆者は考え、関係があるのか聞いてみたのですが、「チェキ会でのご利用は重要なユースケースの一つではあるものの、売上拡大はそれ以外の用途の広がりによる影響が大きい」と高井さんは言い切ります。
「実は日本国内でのチェキの売上は全体の1割ほど。チェキは海外での売上が全体の9割なんです。日本でももちろん売上は伸びていますが、それ以上に海外の売上が伸びています」(高井さん)
なぜそれほどまでに海外での売上が伸びているのか……チェキの人気が拡大していた2018年頃から日本だけでなく世界も含めてチェキのブランドコンセプトを見直したことが大きいのだそう。
「日本だけでなく海外でも注目されはじめたときに『チェキの本質的な価値ってなんだろう』と社内で協議し、その価値を伝えるメッセージやビジュアルを世界で統一して、商品企画とプロモーションをアップグレートしました。スマホでも他のカメラもできない、“チェキだからできること”について見直したんです。そこでモノ感や体験といった価値を反映させたフィロソフィーを統一して、広告のビジュアルも含め海外の販売会社でもルール化しました。その結果、販促時のメッセージが統一されたことで、世界でも共通して若者を中心に刺さったことが海外でも売上を拡大できた理由だと思います」(高井さん)
大人の物欲を刺激する! 男性やシニア層もハマる本格派モデルの魅力
「若者に人気のチェキ」という文脈で話を進めてきましたが、実はチェキの人気は若者だけではありません。最近では男性やミドル&シニア層からも人気が高まっていると言います。

左から『instax mini Evo』BROWN・BLACK、『instax mini Evo Cinema』、『instax WIDE Evo』
「カメラ本体がパステルカラーのアナログのエントリーモデルのユーザーは若い女性が9割。しかし、他の層の方にもチェキを使ってほしいなと思い登場させたのが『instax mini Evo』です。撮影した写真を見てから必要なものだけプリントできるハイブリッドカメラでかつ男性が持っても恥ずかしくないカメラらしいデザインを意識しました。みんなでワイワイではなく自分と向き合いながら、メカっぽい要素を増やし操作している感じを強調しています」(高井さん)
よく見るとフィルムカメラ時代にあった「クランク」があり、懐かしい気持ちとテンションが上がります!結果的に男性だけでなくクラシカルなカメラらしいビジュアルが好みの女性からも売れているといいます。
幅広い方に向けて、写真のサイズから機能の細部に至るまで細やかなニーズに対応してきたチェキ。たとえば『instax mini 13』は銀塩写真ならではの質感と仕上がりがある一方でセルフタイマー機能も搭載されるなど、風合いは大事にしながらどんなシーンでも楽しめるよう進化を続けています。
「アナログの気軽さや良さを維持しながらセルフタイマーのような便利な機能を搭載するなど、進化は進めていきます。しかし、進化させすぎるとアナログ好きな方をがっかりさせてしまいます。そのため変えるor変えないの判断は非常に慎重に行っています」(高井さん)

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今後チェキでは、エンドユーザーの消費者に直接チェキを売ることだけに留まらず、エンタメ施設などでキャラクターと一緒にチェキ撮影を楽しめるサービスや、スポーツイベントなど選手と合成写真を撮ることができるサービスなどBtoBでの活用にも広げていきたいと話します。
ただの「撮影用カメラ」に留まらずチェキという文化を創り出し、体験と所有を提供し続けているインスタントカメラ「チェキ」。決して便利なことだけが求められているわけではないことが意外なようでもあり、納得できる気もしますね。
文・撮影/松本果歩
