足並みがそろわない山梨県と静岡県…長野のアルプスは?
いっぽう山梨県側ではヘリ救助の有料化検討は静岡県に先行しているが、登山禁止に絡む動きはあまり見られない。これには富士山登山の“構造”が背景にありそうだ。
昨年の開山期、4つの登山道のうち唯一山梨県側にある吉田ルートの入山者は約12万1000人で、静岡県側の3ルートの入山者を合わせた約8万4000人を上回る。
「しかし冬は猛烈な偏西風が吹くため基本(静岡県側の)南側からしか登りません。そこで救助要請が出ると山頂付近も含め管轄になっている富士宮市に負担がかかります。
つまり静岡側から見ると、夏の観光の登山客は山梨に持っていかれ、冬の負担だけ負う形です。それが今『財政が厳しい時になんでこんなことするんだ』という富士宮市長の怒りになっているんだと思います」(鈴木氏)
また、静岡県警の統計では昨年夏の2か月間の開山期の遭難は36件(死者ゼロ)だったのに対し、閉山期の10カ月間の合計は9件(死者1人)だった。
これに対し長野県警によれば、同県内の北アルプスでの昨年の遭難発生件数は213件(死者21人)も起きている。
〈もしも危険だからという理由で夏以外の富士登山が禁止されるのであれば、他の山域でも軒並み禁止となる可能性が高いと言えます。〉
とネット署名は指摘する。
須藤市長は署名の動きについて地元メディアに対し、
「登⼭家にはいろいろ夢があるし、富⼠⼭に登ることは誇りかもしれないが、地元としては迷惑な話。冬⼭に登らなくても、開⼭中はいつでも登れる」
と話し、取り合わない姿勢だ。
鈴木氏はその富士宮市に対し、30日、集まった署名を提出する予定だという。
山開きを目前に、“富士山に登る権利”を巡る議論が激しくなりそうだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

