
これからの暑い季節になると、スイカが旬を迎えます。
暑い日にスイカをシャキッと食べるのを楽しみにしている人も多いでしょう。
しかし先行研究によると、スイカの食べ過ぎに注意したほうがいい人がいます。
それは「腎臓の調子がよくない人」です。
米セント・ヴィンセント病院(Saint Vincent Hospital)の2024年研究で、腎臓の悪い人がスイカを食べすぎると致命的な症状に陥るリスクが高いことが症例研究で報告されています。
スイカの食べ過ぎが、どのような症状に繋がるのでしょうか?
研究の詳細は2024年4月2日付で医学雑誌『Annals of Internal Medicine』に掲載されています。
目次
- 「腎臓」の働きが弱まると何が起こる?
- スイカの食べ過ぎで「高カリウム血症」になる
- 腎臓病の患者が、毎晩スイカを食べ続けた結果…
「腎臓」の働きが弱まると何が起こる?
腎臓はそら豆のような形をした握りこぶし大の一対の臓器であり、お腹の背中側にあります。
主な役割は、体内の血液をろ過して、老廃物や余分な塩分を尿として体外に排出することです。
また体に必要なものは再吸収し、体内にとどめる働きもしています。

一方で、腎臓の働きが弱くなると尿の作りが悪くなるため、老廃物や余分な塩分、その他の毒素が体内に蓄積する恐れがあります。
この状態が「尿毒症」です。
尿毒症になると例えば、老廃物の蓄積を原因とする「頭痛・吐き気・食欲の低下・体のだるさ」が生じたり、水分の蓄積を原因とする「むくみ・動悸・息切れ・尿量の低下」が生じます。
このように腎臓機能の低下が常態化した病気が「慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)」です。
日本における慢性腎臓病の患者数はかなり多く、2023年時点の調査では、国内に約1480万人(20歳以上の7人に1人)の患者がいると推計され、新たな国民病ともいわれています。
セント・ヴィンセント病院の医学研究チームが報告したのは、そんな慢性腎臓病患者におけるスイカの悪影響です。
では、慢性腎臓病の人たちがスイカを食べすぎるとどうなってしまうのでしょうか?
スイカの食べ過ぎで「高カリウム血症」になる
スイカは果肉の90%以上が水分であり、添加物だらけの加工食品や高脂肪のファストフードなどに比べると、健康上に何の害悪もないように思われます。
しかし、腎臓が悪い人にとっては致命的になる可能性があります。
その原因となるのが、スイカに豊富に含まれている「カリウム」です。
カリウムは、すべての細胞の正常な機能を維持するのに必要なミネラルです。
細胞内の体液量の調節や心臓の鼓動の調節、筋肉の収縮や神経刺激の伝達など、人体の活動に欠かせない役割を担っています。

一般成人の正常な血中カリウム濃度は3.6〜5.2mmol/L(※)です。
(※ 1mol/Lは溶液1Lに溶けている物質量の単位で、1mmol/Lはその1000分の1の単位)
腎臓がちゃんと機能していれば、多くのカリウムを摂取しても尿と一緒に排出されて、血中のカリウム濃度のバランスを保つことができます。
ところが、慢性腎臓病のように腎臓の働きが悪くなっていると、カリウムが尿として排出されず、体内にどんどん溜まっていきます。
そして血中カリウム濃度が5.5mmol/L以上になると起こるのが「高カリウム血症」です。
高カリウム血症になると筋肉が正常に収縮しなくなり、手足の痺れ、嘔吐などの胃腸症状、体に力が入らない脱力感、そして心臓の働きに異常が出る不整脈や、最悪の場合は心停止に陥る恐れがあります。
つまり、腎臓の悪い人がスイカを食べ過ぎるとカリウムが体内に蓄積して、高カリウム血症を引き起こすリスクが高まるのです。

