彼の方から「親に会ってほしい」と言ってくれた
付き合って2年が近づいたころ、彼の方から「今度、親に会ってくれない?」と言ってくれました。突然ではありましたが、嫌な驚きではありませんでした。むしろ、彼が私との関係をちゃんと先のこととして考えてくれているようで、うれしかったのを覚えています。
私たちは予定をひとつのアプリで共有していて、その日付には彼が「親に挨拶!」と入力していました。最後についていた感嘆符まで、なんだか彼らしくて。私はその予定を見るたびに、少しだけ背筋が伸びるような気持ちになっていました。
手土産は何がいいだろう。服装はきちんとしすぎても変かな。お母さんにはどんなふうに挨拶すればいいんだろう。まだ先の予定なのに、私は何度も予定表を開いては、勝手に緊張して、勝手に楽しみにしていました。
予定は残っているのに、名前だけが消えていた
前日の夜も、私はその予定を見ていました。明かりを落とした部屋で、スマホの画面に表示された「親に挨拶!」の文字を見ながら、いよいよ近づいてきたなと思っていました。ところが翌朝、何気なく予定表を開くと、そこにあったはずの文字が消えていたのです。
代わりに表示されていたのは、ハートの絵文字ひとつ。日付は同じ。時間も同じ。予定自体が削除されたわけではありません。だからこそ、余計に意味がわかりませんでした。本当に予定を変えるなら、日付や時間を直すはずです。でも彼は、約束の名前だけを変えていたのです。
「日程変わったの?」私はできるだけ何でもないふりをして連絡してみました。彼は「ああ、日にちはそのままだよ」とだけ答えました。でも、名前を変えた理由には触れませんでした。その普通さが、逆に怖かったのです。
