ひとつのフェーズが終わろうとしている
──『バケモノの子』(2015年)以降、脚本をご自身で手掛けられるようになったのも、作品がより個人的なものになっていったからでしょうか?
そうです。『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)は、他界した母をモチーフにして、長年一緒にやってきた奥寺佐渡子さんと共同で執筆させてもらいました。でも、それ以降は自分に子どもが生まれたこともあって、家族のことがより色濃く作品に入ってくるようになった。
家族観って、人それぞれ違うじゃないですか。そこまで奥寺さんに背負ってもらうのは、申し訳ない。だから、しばらくは自分で書こうと思ったんです。
──奥寺さんは『バケモノの子』の公開時のインタビューで「監督は10年単位で作品づくりを考えているのでは」という話をされていました。それから10年経った。また新しいフェーズに行くタイミングだったりします?
確かにそうかもしれない。ここ数年は、娘に対しての願いが作品のモチーフになることが多かった。親はみんな同じだと思いますが「子どもたちが、社会的に不利益を被らずに生きていけるように」という気持ちが溢れていた。娘も大きくなってきたので、そのフェーズも終わりが近づいているのかもしれない。
あと、今回展覧会をするにあたって、初めて自分の過去を見つめ直してみたんですね。これまで新しさばかりを求めてきたのですが、立ち返るのも悪くない。ひとつの区切りを感じています。
これから、また誰かと一緒に脚本を書くかもしれない。ひょっとしたら……僕はいつか、自分の『ハウル』を作らなきゃいけないような気もしています。
#2に続く
取材・文/嘉島唯

