子どもたちの応援が154kgへの挑戦を後押しした瞬間

授業の終盤には、子どもたちが事前に考えてきたオリジナル応援コールを、光瀬智洋選手へ届ける時間が設けられました。
これまで友達同士で送り合っていた声援は、この瞬間、一人のパラリンピアンへ向けられます。子どもたちの応援を受けながら、光瀬選手は70kg、100kg、140kgと次々に重量を上げ、最後に154kgへ挑戦しました。この重量は、自身が持つ日本記録158kgの約98%にあたり、直前3日間の強化合宿でも一度も成功していなかった重さだったといいます。
挑戦を前に光瀬選手は、「失敗が怖いから挑戦しないのではなく、挑戦することが大切。だから、この挑戦をみんなの応援で後押ししてほしい。」と子どもたちへ呼びかけました。その言葉に応えるように体育館いっぱいへ大きな声援が響き渡り、光瀬選手は154kgのバーベルを見事持ち上げることに成功します。

挑戦を終えた光瀬選手は、「みんな、ありがとう!みんなの応援のおかげで154kgが上がりました。パラ・パワーリフティングは、応援してくれる人がいて初めて完成するスポーツなんです。」と、子どもたちへ感謝の言葉を伝えました。
授業のテーマは「応援には本当に力があるのか」。その答えは、教室で学ぶのではなく、一人のアスリートが挑戦する姿と、それを支えた子どもたちの応援によって示されました。応援する人と挑戦する人、その両方がいて初めて生まれる力を、子どもたちは忘れられない形で体感したことでしょう。
応援の力がくれた勇気 子どもたちの心に残った一日

交流授業を終えた子どもたちからは、「光瀬選手の挑戦を見て、本当に応援には力があるんだと思いました。」という感想が寄せられました。
自分自身が競技を体験し、友達を応援し、最後にはパラリンピアンの挑戦を全力で応援する。その一つひとつの経験を通して、「応援」は誰かの挑戦を支える力になることを実感した様子がうかがえます。
また、授業を見守った先生からも、「子どもたちと一緒に大きな声で応援し、光瀬選手が154kgを持ち上げた瞬間をともに喜ぶことができ、本当に元気をもらいました。」との声が寄せられました。
授業を終えた光瀬選手も、「最初は緊張していた子どもたちが、最後には『楽しかった!』と笑顔で帰っていく姿がとても印象的でした。」と振り返ります。さらに、自身も子どもたちから多くのことを学び、154kgへの挑戦も子どもたちの応援が大きな力になったと語りました。
最後には、自身の経験を交えながら、「できないかもしれないと思って挑戦をやめるのではなく、今日みたいに少しだけ一歩踏み出してみてください。応援は、その一歩を踏み出す勇気になります。」とメッセージを送り、「今日帰ったら、お父さん、お母さん、お友達、誰でもいいので一人だけ応援してみてください。」と子どもたちへ呼びかけました。
今回の交流授業で子どもたちが持ち帰ったのは、競技の楽しさだけではありません。誰かを応援すること、そして応援されることで勇気をもらえること。その大切さを実感した経験は、これからの日常の中でも子どもたちの背中をそっと押してくれるのではないでしょうか。
