Rokid(ローキッド)の日本ローンチイベントに行ってきた。『Rokid スマートAIグラス』は、クラウドファンディングのMakuakeで支援総額6億3673万円を集め、同サービス13年の歴史で歴代1位の支援額を記録したAIグラス。7月10日から10万9890円(税込)で国内販売が開始される。緑色の文字を視界に表示するという意味では、ThunderVoltで何度も紹介してきたEvenに似ているが、実際に体験してみるとプロダクトとして目指すところはまったく違った。果たしてRokidは、AIグラス市場の本命となるのだろうか?

Rokid スマートAIグラス
https://jp.rokid.com/pages/rokid-glasses
Makuakeの記録を塗り替えて日本上陸したRokidとは?
Rokidは、AIとARに特化した中国・杭州(上海の近く)のテクノロジー企業。2014年創業以来いくつかの製品を出していたが、2025年8月に発表した『Rokid Glasses』(国内では『Rokid スマートAIグラス』)が大ヒット。同社の発表によると、この1年でディスプレイ搭載型ARグラス分野の世界1位となり、成長率は600%を超えるという。国内ではMakuakeで2月26日から先行販売され、7413人のサポーターから6億3673万円という歴代最高額を集めている。

登壇したRokid海外事業統括副総裁のZoro Shao氏は「スマートグラスこそがAIにとって最も自然で重要な入口。人類はスマホの時代からウェアラブルAIの時代へ移行していく」と語り、今後1年で日本市場に少なくとも10億円を投資すると発表した。

筆者が興味深く感じたのは、耳の不自由なユーザーの利用シーン。音声をRokidがテキスト化してくれるので、耳の不自由な人が、スムーズに会話に参加できているというムービーが紹介された。こういう用途は想像していなかったが、たしかに耳の不自由な人にとっては画期的な利用方法だといえるだろう。

イベントではほかにも、スマートグラス専用としては世界初を謳うAI OS『YodaOS』、エージェントアプリを流通させる『Agent Store』の開設、東京を皮切りに横浜、大阪、名古屋、福岡を巡る体験ツアーの開催が発表された。日本市場への力の入れようが伝わってくる内容だった。

Evenに似ているが、実態は『まったく別物』
緑色のマイクロLEDの文字が視界に浮かぶ……という体験は、ThunderVoltで紹介してきたEven G2にそっくりだといえる。しかし、実際に体験してみると、両者の設計思想、製品として目指すところはまったく違うと感じた。
Evenはカメラもスピーカーも持たず、普通のメガネと変わらない軽さで、かけていることを意識させずに日常に溶け込むことに徹したデバイスだ。カメラを持たないので、特に日本においてスマートグラスの課題である『カメラに対する忌避感』が問題にならない。他の人に不安を感じさせないし、万一スマートグラスのカメラが法規制されたとしても問題なく使える。

対してRokidは、1200万画素のカメラとマイク、スピーカーを搭載し、AIで『いろんなことができる』ことを目指したデバイスである。Even Realitiesが『日常に溶け込むアシスタントのようなAI眼鏡』を目指しているのに対し、Rokidは『見たもの聞いたものをすべてAIに取り込んで処理できる、全部入りデバイス』を目指している。『洗練』か、『全部入り』か、そこが大きく違う。

ちなみに、ディスプレイの解像度はEven G2の640×350に対して、Rokidは640×480と一回り多い。輝度も1500nits(G2は1200nits)とRokidが上回る。表示位置もEven G2は視界の邪魔にならない少し下に(G1は上だった)に控えめに表示されるが、Rokidは目の前少し下にかなり明るく表示される。
これも思想を表わしており、Rokidは画面表示が見やすく、Even G2は現実の視界の邪魔をしない。

チップはSnapdragon AR1 Gen 1とNXP RT600のデュアル構成で、GPT-5やGeminiなど複数のAIモデルを呼び出せて、89言語のリアルタイム翻訳にも対応する。スペック的には現時点の『フル装備』といっていい。