下町発、全国そして海外へ広がるキンミヤ
下町を主な舞台に展開してきたキンミヤだが、近年は全国各地へと広がりを見せている。下町酒場での人気が高まるにつれ、全国から「どこで買えますか?」という問い合わせが相次ぎ、当初は自社ネットショップがその受け皿となっていた。その後、各地で実店舗での取り扱いが増え、東京発の人気が地方へ波及するのに合わせて、流通網も自然と整っていった。
現在とくに力を入れているのが関西圏だ。「焼酎といえば乙類」という意識が根強く、大阪の多くの店では、甲類よりも、芋や麦などの香りや風味がしっかり出る乙類が酎ハイのベースに採用されているという。
そこで営業担当が現場で飲み比べを提案し、酎ハイには甲類も合うことを実感してもらい、キンミヤのほのかな甘みのあるまろやかな味わいを伝えることで、少しずつ採用店を増やしている。さらに海外でも、「居酒屋文化」というスタイルとともに、キンミヤの存在感は着実に広がりを見せているという。
「居酒屋というスタイルは、海外ではまだ珍しい存在です。以前から台湾や韓国、北米などには、少しずつ居酒屋文化とともにキンミヤを輸出してきました。かつてアメリカ西海岸を回っていた頃は『寿司レストラン+日本酒』が中心でしたが、今は『居酒屋文化+甲類焼酎』という新しい組み合わせが各地で広まりつつあります。
台湾でも受け入れられ、居酒屋の数が増えるのに合わせて、『居酒屋といえば酎ハイ』『酎ハイならキンミヤベース』という流れが生まれてきました。台湾では、現地の問屋が独自にキンミヤのラッピングトラックを6台も走らせ、台北市内を配達してくれているのは象徴的です。居酒屋という場と、そこで飲む甲類焼酎ベースのカクテルという組み合わせが、少しずつ根づきはじめています」
物価高騰の今も「庶民の味方」であり続ける理由
物価高騰や原材料費の値上がりの影響を受け、キンミヤの価格も、さすがに昔と同じ水準のままというわけにはいかない。
それでも「庶民の味方」というイメージが色あせないのは、甲類焼酎というカテゴリ自体が比較的手に取りやすい価格帯にあるうえ、スーパーの棚で同じ規格の競合商品より高く並ぶ場面があっても、「日常の一杯として安心して選べる」だけの品質があると感じる人が多いからだろう。
そこに、これまで積み重ねてきたブランドの印象が加わる。下町の酒場で「気軽に頼める一杯」として長く提供されてきた歴史があり、今も下町の居酒屋に行けば、メニューのなかでキンミヤがもっとも手に取りやすい価格帯で提供されるケースが少なくない。
そうした記憶の積み重ねが、「庶民の味方」というイメージを今も強く支えている。だからこそ、物価が上がり続ける現在も、キンミヤは日常の一杯として安心して選ばれ続けているのだろう。日本でも海外でも、「肩ひじ張らずに飲める一杯」であり続けることが、キンミヤの今の強さなのかもしれない。

