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愛知県の熱血校長が小学校の運動会に「車いすリレー」導入。子どもたち自らルールを考えた

愛知県の熱血校長が小学校の運動会に「車いすリレー」導入。子どもたち自らルールを考えた

「東京パラリンピックは終わりましたが、むしろここからがスタート。学校教育なら子どもたちにずっと伝えていくことができる」

そう力強く語るのは、愛知県の半田市立板山小学校の杉江桂校長先生です。
東京2020オリンピック・パラリンピックから約5年が経ちましたが、杉江先生の熱量が衰えることはありません。パラリンピック教育に出会って以来、一貫してパラスポーツを切り口にした「自立と共生」の教育を実践し続けています。

2026年5月、杉江先生が運動会で挑戦したのは、「パラサポ!インクルーシブ運動会」の車いすリレー。しかしそれは、単なる“パラスポーツの体験”ではありませんでした。
杉江先生が目の当たりにした子どもたちの「人間性が磨かれる瞬間」、そして彼の情熱の根源にある「これからの時代を生きる子どもたちへの思い」に迫ります。

パラリンピック教育をきっかけに、今も続ける「自立と共生」の教育

もともと中学校で教えていた杉江先生。異動で2014年度から3年間、愛知県教育委員会・保健体育スポーツ課に勤務していたときに、愛知県ゆかりのオリンピック・パラリンピックの選手を応援する事業に携わり、パラスポーツとの接点ができました。2017年度から小学校の校長として教育現場に戻ったとき、ちょうどパラリンピック教育の教材『I‘mPOSSIBLE』日本版の学校への配布が始まったこともあり、パラリンピック教育に取り組み始めました。

実践を重ねる中で、パラリンピックやパラスポーツから得る学びが、児童の人間性を磨くのにぴったりだと実感したといいます。

杉江桂校長

「当時(2017年度)は、ちょうど新しい学習指導要領に移行するための周知期間で、翌年度から全面実施される、という時期でした。主体的・対話的で深い学びが重視されることになり、教師が一方的に話すだけの授業から脱却し、新しい時代の双方向の授業をしていくという流れがあった中で、子どもたちに何を伝えるべきかを考えて私がたどりついたのが、『自立と共生』。パラリンピック教育は、それを伝えるのにぴったりなテーマだと感じました」(杉江先生・以下同)

以来、パラリンピックやパラスポーツを切り口とした授業を数々実施。東京2020パラリンピックが終わり、杉江先生自身も複数回の異動で学校を移りながらも、子どもたちに「自立と共生」を伝える授業を一貫して実践しています。

「実践を重ねるほどに、子どもたちの人間性を磨いていくことにつながると感じるようになりました。先行き不透明な時代にあって、ますます重要性は高まっていると感じます

2025年度から板山小学校に赴任してからも、周囲の先生を巻き込みながら「自立と共生」の学びを継続。学校の運動会にインクルーシブな種目を導入する「パラサポ!インクルーシブ運動会」をインターネットで知った時も、「ぜひやりたい、やる価値がある」と確信したそうです。そしてこの春、6学年担当の先生と連携し「車いすリレー」を新たに導入しました。

「今年はたまたま6年生には障がいのある子はいませんが、ケガをした子が参加することもあり得るし、いつどんな障がいのある子がいても、運動会に参加できるようにしたいという思いもありました」

「パラサポ!インクルーシブ運動会」とは
日本財団パラスポーツサポートセンター(パラサポ)が運営する、学校の運動会にインクルーシブな種目を取り入れるプログラム。障がいのある子もない子も一緒に取り組める運動会種目を、子どもたちが練習し本番で披露するプロセスを通して、誰もが参加でき楽しめる場をつくる意味を、子どもたち自身が学び気づいていくことをねらいとしています。

事前学習も実施。児童のアイデアも取り入れた「車いすリレー」

これまで「座学」と「実技」を重視してきた杉江先生は、今回も車いすリレーを通じて児童が共生について考える「線」の学びになるような計画にしました。

4月に行った、パラアスリート講師と共生社会を学ぶワークショップ型授業「あすチャレ!ジュニアアカデミー」は、その起点です。車いすユーザーの講師と児童みんなが楽しめる鬼ごっこにするにはルールをどう工夫するとよいかを考える、という内容。グループで話し合い、実際に遊んでみたり、講師ともコミュニケーションをとったりしながら、相手の立場に立って考えるとはどういうことなのか、「インクルーシブ」について考えるきっかけになりました。

5月の連休明けからは車いすリレーの練習がスタート。体育館でも校庭でも使えるよう開発された車いす「パラサポ!ミライ」に乗ってみて、「どうしたら速く進めるだろう?」と、車いすのこぎ方を練習していきました。

ここで一工夫が入ります。「速い人が勝つというだけでなく、こうしたらもっと面白くなるんじゃないか」という児童たち自身の発想で、ルールをアレンジしたリレーをしてはどうかというのです。
話し合いの結果、直線をまっすぐ走る車いすリレーのほかに、車いすに乗って行う障害物リレーと玉入れリレーを取り入れることになりました。「あすチャレ!ジュニアアカデミー」で、みんなで遊びのルールを考えた経験が刺激になったのかもしれません。

運動会直前には、児童が考案した2種類のリレーも含めてリハーサル。練習を終えた児童が書いた感想ノートには、「チームで協力して思い出に残る小学校生活最後の運動会、がんばろうね!」「最後まであきらめずにがんばって勝ち抜こう」といった言葉がありました。

迎えた運動会本番。元気よく登場した6年生は、懸命に走って練習の成果を披露しました。自分たちで発案した障害物リレー、玉入れリレーも大盛り上がり。

真剣に上位を目指しながら、みんなで楽しんだ6年生

一連の学びの集大成として車いすリレーを終えた6年生の姿を、杉江先生はあたたかく見守っていました。

<記事の最後でも、車いすリレーの様子を紹介しています>

配信元: パラサポWEB

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