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愛知県の熱血校長が小学校の運動会に「車いすリレー」導入。子どもたち自らルールを考えた

愛知県の熱血校長が小学校の運動会に「車いすリレー」導入。子どもたち自らルールを考えた

車いすリレーから広がっていく、子どもたちと先生の学びと思い

自分たちで考えながら意欲的に取り組み、盛況のうちに運動会を終えた6年生は、「今年の5年生は来年どんなことをするのかな」と、早くも次の世代への期待を口にしていたそう。学びが自然とつながっていきます。

「運動会は、多くの人が集まる場所です。通常の授業だと体験できるのはその学年だけですが、運動会ならすべての学年の子どもたちと教員、さらには保護者や地域の方と、大勢の方に幅広く見ていただくことができます。

今回も、一連の学びの中で6年生が得たものを、運動会という場で他学年の子どもたちや私たち大人に見せてくれました。4年生は秋に福祉の授業も行いますが、最初に『運動会で6年生の車いすリレー見たよね?』と触れたいと思います。そして学びをその後の学習発表会にもつなげたい。経験を積めば積むほど、子どもの発想は無限大にふくらんでいくはずです」

学校の廊下には、杉江先生が撮影した運動会の写真が掲示されています。もちろん車いすリレーの写真も

児童だけでなく、先生にも車いすリレーは気づきを残していきます。杉江先生と共に車いすリレーの実施に携わった6年生の担任の深澤元先生は、このように話していました。

子どもたちから『障がいへの見方が変わった』といった意見が数多くありましたが、自分自身もとらえ方が変わりました。障がいもそれぞれの人によっても違うということも意識するようになりました。

最後の運動会というのもありましたが、子どもたちの中で勝つことだけじゃなくて、『みんなで楽しみたい』という言葉がすごく増えました。インクルーシブ運動会を通して、その考えがより深まったんだと思います。そうした『みんなで』という視点を、これからの学校生活でも大切にしたいと思います」

児童と一緒に今回の運動会をつくりあげた6年生担任の深澤先生(写真右)

「失敗を恐れずに挑戦してほしい」先生方へ送るエール

杉江先生は、残り数年となった教員生活でも、パラスポーツを通じて児童にこれからの時代を生きるうえで欠かせない、「人と共に生きる」ことを伝えていきたいといいます。

「障がいの有無に関係なく、誰もが幸せになる権利をもっています。みんなが住みやすい社会をつくっていくには、お互いに相手の立場になって物事を考えること、すなわち相手への思いやりが欠かせません。『他者意識』といってもいいでしょう。

他者意識をもち、共生をしていくためにはまず、自分を大事にすること。自分が選択権をもつということでもあります。指示されて動くのではなく、自ら判断して意思決定し、行動できる大人になってほしい。一人ひとりが自立し、相手の立場にも立てるようになって初めて、共生は実現すると思います

「自立」と「共生」はセット。そして「共生」は、これまでの学校教育でも大切にされてきた「他者理解」などと地続きなのです。車いすリレーを通して児童がたどりついた「みんなで」という視点も、これにつながります。

これからも「共生」の学びが大事だと語る杉江先生

そして、「相手の立場に立つ」ということが、インクルーシブ教育の入口にもなるのではと杉江先生は話します。

「『何か困っていることはない?』と聞きながら進めていくなど、コミュニケーションをとることが大切ですよね。制度として同じ教室で勉強するかどうかよりも、コミュニケーションを通して他者を意識できているかが、本質的に大切なことだと思います」

運動会の後、杉江先生に共生やインクルーシブな学びに取り組もうとする先生方へのアドバイスを問うと、「失敗を恐れずに挑戦してほしい」という言葉が返ってきました。

「子どもたちには失敗を恐れるな、間違えてもいいんだ、と言いながら、大人が失敗を恐れている節があります。先生方には、まずはやってみましょう、と伝えたいです。もしうまくいかなかったら、何がやりにくかったのか、どこに難しさがあったのかを考えればいいんです」

運動会は終了しても、その学びは今後も続いていきます。
インクルーシブな運動会という一つの場から、「共生」への思いを共有する人が増え、熱量が広がっていくのが感じられました。

当日の車いすリレーの様子
板山小学校の車いすリレーは、校庭に長方形のコースを作り、一人の走者が一辺をまっすぐに車いすで走りました。交代しながら四辺を走りきるまでが1レース。全部で4レースを行いました。

第1レースがスタートすると、練習してきたこぎ方で児童がぐんぐん前へ進みます。次の走者との車いすの乗り換えも、安全かつスムーズに行えるよう息を合わせます。また、ケガで車いすリレーに参加できなくなった男子児童が実況役となり、臨場感のある実況で会場を盛り上げました。

ひとつでも上の順位を目指して、懸命に車いすをこぐ!

第2レース、第3レースはそれぞれ児童たちが考えた特別ルールで実施。コースの途中に三角コーンを置き、よけながら走る障害物レースと、コースの途中で一度止まり、かごに向かって玉を投げ入れてから進む玉入れレースを行いました。

障害物リレー玉入れリレー

最後の第4レースは、第1レースと同じ、まっすぐ走る車いすリレー。懸命に車いすを漕ぐ仲間の姿を目にして、応援にも熱が入ります。

声を張り上げて応援しました

4レースの結果、車いすリレーは白組が勝利! 観戦する他学年の児童や保護者からの大きな拍手の中、フィナーレを迎えました。

text by Ayako Takeuchi
edited by Parasapo
photo by Haruo Wanibe
写真提供:杉江桂

配信元: パラサポWEB

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