政府が改正案要綱を提示 朝日・読売も懸念示す異例の事態
6月25日、政府は立法府の総意を踏まえ、衆参両院の正副議長と各党の代表者による全体会議に皇室典範改正案の要綱を示した。
現在の皇室典範12条では「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定されているが、これを「天皇及び皇族以外の者との婚姻によって皇族の身分を離れることがないものとする」と改正する。
女性皇族が皇族の身分を離れようとするときは、本人の意思により皇族の身分を離れることができるとの付則が設けられた。
また、皇室典範9条で「天皇及び皇族は、養子をすることができない」と規定されているが、改正案では、例外措置として、「皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である年齢15年以上の男子(旧11宮家の男系男子)であって、配偶者及び子がないものに限り、養子とすることができるものとする」とした条文、「皇族数の確保の状況等を勘案し、必要があると認められるときは、30年ごとに見直しが行われるものとする」とした付則も設けられた。
養子で皇族となった男系男子については「皇位継承資格を有しないものとする」とする一方で、養子の子どもが男子なら皇位継承資格を有することが明記されることになった。
欧州は「長子優先」が主流
メディアの間では、今回の皇室典範改正について懸念を示す意見も少なくない。朝日新聞は「養子解禁は女性・女系天皇への道を妨げるのみならず、①事実上世襲の貴族をつくることにつながる②今の天皇家と共通の男系の祖先は室町時代にさかのぼり、国民に受け入れられるか懸念される③養子選びに時の政権の恣意が入る恐れがある④皇位継承を巡る紛争の元になりうる⑤国民に信頼される有為な人材が実際にいるのか不― ―など問題は多岐にわたり、さらに新たな論点も浮かび上がる」と批判。
読売新聞も「天皇陛下と旧宮家で共通する男系の祖先は、室町時代に遡る。約600年前からの系図に従って皇族になると言われても、多くの国民は違和感を持つだろう」「立法府と行政府は将来の女性・女系天皇を排除せず、国民の総意を得られるよう、皇統の存続を図るための議論を深めるべきだ」と主張した。
ヨーロッパでは、性別を問わず第1子を優先する「長子優先」が広がっている。1980年にスウェーデン、1983年にオランダ、1991年にベルギー、2013年の英国と続く。
天皇陛下はオランダ、ベルギーへの公式訪問前の6月11日、記者会見で「制度にかかわる事項については私から言及することは控えたいと思います」と前置きした上で、「皇室のあり方や活動の基本は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にすることだと考えており、こうした皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と発言された。
皇室に詳しい専門家は「政府が皇室典範改正案に、養子となった旧宮家の男系男子の子が男子なら皇位継承資格を有することが明記されたことで、女性・女系天皇の議論に影響が出るのは間違いない。立法府の総意からも外れた内容で、議論を尽くさないまま改正案を成立させるのは、国民の総意からも反する。改正案から養子の子の皇位継承資格に関する部分を削除し、今一度、皇位継承について議論すべきだろう」と指摘している。
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